映像で選ぶ、2012年アニメOP・ED・劇中音響3選

自分が今年特に好きだったOP・ED・劇中音楽を映像観点で3作品ずつ選びました。
この記事のために毎クールごとにOP・EDのメモを残しているので興味がある方は[2012アニソン]のタグでまとめてありますので覗いていただければと思います。

OP

ED

劇中音響

OP


流行りの?ダンスに流されないアグレッシブ盆踊り。髪型を目まぐるしく変え、身体の一部を万華鏡のように動かし、自分自身の力で輝こうとする姿がとても魅力的です。
もう一つ。そんな少女を眺め、包み込み、飲み込むという男性の視線についてですが、鳥の羽ばたきのシルエットと重なる盆踊りから、巣立ちを見守る親鳥を想像するのはそう難しくありません。
あくまで主役はひな鳥であり、親鳥は際だたせるために黒く描かれます。口内という巣から飛び立つ無数の黒から、一羽の爽やかな青色が孤立しますが、冒頭の着物の色と同じその色は、"変わりゆくけれど変わらないもの"という系譜と本質を感じさせます。


様々なキャラクターがイキイキとした表情を浮かべて視線を対象へと向けます。距離感が近く、大胆なカメラワークや繋ぎが刺激的な、視聴者の感情を揺さぶる映像となっていますが、これらの動作はどういった意味を持つのでしょう。
振り向き、見上げ、配り、見下ろしと実に様々な動作で対象物を捉えます。鳥であったり景色であったり、キャラクター同士であったりと多岐にわたりますが、それらすべてに共通するのが眼力とも言える大きく広げられた瞳でしょう。しっかり漏らすことなく捉えようという関心、好意の強さを感じさせます。
振り向きと振り返りという動作は非常に似ていますが、撮影が終わり写真が机上に置かれてようやく顧みることになったのではないでしょうか。


タイトルのハート型の宝石から始まり、ピース、両手を広げるなどなど、全てのキャラクターがVの字の軌跡を描きます。
ピースサイン】@Wikipedia
挑発、勝利、平和と様々な意味を持つこのサイン。その歴史を紐解けば積極的な意志を持って掲げられたものではありますが、写真撮影の際に反射的に出てしまうものでもあります。
"We&Me(ぼくら)はみんな地球の家族だよ"という歌詞にまで様々な【V】の集合体である【W】や【M】の字が当てられており、女児向けのアイドルアニメがクールに数本乱立する中で、敢えてこのポーズを纏うという事に覚悟を感じます。
どこか古臭い原色系の光源をスポットとして用いていますが、白―黄色の対比や虹色CGといった、昨今の色(≒光)を持って語らしめる作品を踏まえた上で、アニメならではの光を選択する様に痺れます。

ED

  • 『パパの言うことを聞きなさい』ED


瞳を通して別の色・人へと移りかわり、シアン・イエロー・マゼンタを経ることで単色だった世界は色とりどりの美しいパステルカラーに変化します。
これ以上は必要ない、幼い子供を囲むようにして瞳は閉じられます。それはとても暖かく微笑ましい光景ですが、ぼやけた黒しか産まない世界です。
年上2人の足に履いた黒の靴下はさながら外界から這いよる刺客ですが、逃げるように上半身だけを映した先に待ち受ける覚醒の瞳も黒。一番幼い子供だけが開きますが、三人の色を混ぜた系譜として、当然の衝動なのかなと思います。
それにしても堀江由衣がここまで突き抜けたテクノポップを歌われることになったのも驚きで、『みなみけおかえり』の監督だった及川啓がイメージに寄った映像演出をされる事にも驚きで、いろいろと認識を広げることになりました。


去年散々可愛いと褒めまくっていた『ゆりゆり』EDでしたが、また大隈孝晴副監督がやってくれました。無印では小気味良い音楽に乗せた、顔のアップによる表情の変化がとても可愛らしかったのですが、今回はストップモーションによる軽やかな動作にぐっときます。日常中の芝居が活き活きしており、もう、正直、たまりません。
ゆるゆりのEDでは作画監督に向田隆や松尾祐輔といった所謂"上手い人"が起用されており、その"上手さ"を最大限活かすような映像作りがされています。無印であればキャラのアップや、単色の背景、彩度を下げることで上手い人の線がはっきりと分かり、表情の繊細さが伝わってきます。
今回の映像は、キャラクターの周囲に白色の枠が付くことで、強くなった背景であってもキャラクターの線が埋もれずに、すべての所作を生々しく感じました。ようは、つまり、本当に可愛いなぁと。


おぉ、どうやら私はりっちゃんペン(LAMYのシャーペン)にものすっごい影響されているのではないかしら。京都アニメーション佐藤聡美でこのEDですよ!いや、なんかもう、おかしーし!!
ところでりっちゃんぺんに影響されて黄色の車を購入するのと、りっちゃん好きすぎて痛車にするのって、どっちもどっちなのではないでしょうか。まぁ『中二病でも恋がしたい!』で語るべきですね。
足跡や英字が舞う中で探しまわる探偵と逃げまわる怪盗は、どちらも露骨に挙動不審で、気づいて欲しい、見つけて欲しいといった雰囲気が伝わってきて気恥ずかしいです。
ルーペで拡大される要チェックポイントの数々ですが、至るところに散りばめられているので完全に追いついてませんね。

劇中音響

  • 『Another』


閑散とした田舎を舞台にした見えざる手による殺戮劇は、BLOOD-Cと同じ水島努監督、岩浪美和音響監督という安心の布陣です。環境音をまずしっかり作った上で、ホラーの文脈である焦燥や緊迫を高める音響にゾクゾクしました。耳が痛くなる系の不快音をテレビアニメで聴けるのは幸せです。
観測者で傍観者の少女のセリフの距離感といい、サラウンド効果のバランスが絶妙で、雰囲気がよく出てるなぁと。映像自体が怖がらせるのではなく驚かせる方に寄っていったので、ビックリハウスとして雰囲気があるなぁといった印象でした。


合唱部という触れ込みでしたが、実際は寄せ集めのメンバーで演奏会、商店街の企画で舞い踊り、突然の学園祭の選考会、バイトでヒーローショー、急造ミュージカルというように行き当たりばったりといいますか、手当たり次第の展開でした。
そもそも部員5人中2人が掛け持ちで、1人は帰国子女の素人です。そんな寄せ集めな人たちでもなんとなく出来るのが"歌"なんですよね。一人で何もない状態で歌うのは難しくても、誰かに合わせて歌うのは容易です。
歌は自然に耳に入って作用します。そうして感情が共振することで、人は歌わずには居られなくなるのではないでしょうか。傍からみると雑多な活動ではありましたが、合唱部5人のアンサンブルの結果なのでしょう。


TV放送では2年半ぶりのアニメ『ひだまりスケッチ』ですが、入院されていたヒロ役である後藤邑子の復帰後初収録もこの作品ということです。
ただいまひだまり!】@後藤邑子のTSUBUYAKI
そんなおかえり感満載の第一声はOPの揃わ無さでした。それは入院による声質の違いもありますが、沙英役の新谷良子の声もまた妙に耳に残るように感じたからです。
3年生組の声に違和感を感じたOPでしたが、本編を観るとなるほどなと感心しました。修学旅行に行って帰ってくる1・2話を始め、進路相談や受験勉強など、3年生と1・2年生とを隔てるイベントや画面構成が満載で、ひだまり荘に帰ってきた彼女たちの別れを感じさせるものになっていました。
しかし変わらないものもあります。BGMは新規で作成された曲はあるものの、無印の頃の音楽が使用されており、当時と印象が変わりません。EDも今までのシリーズのモチーフを踏襲した総決算を感じさせつつ、marbleの楽曲がいつもと同じであることに安心します。
シリーズディレクターが変わる事で演出も少しずつ変化していった『ひだまりスケッチ』で、音響周りの不変さが【ひだまり荘】を形作っていたと思います。もうすぐ6年になる4期目の『ひだまりスケッチ』の変わるもの、変わらないもの。そんなことに思いを馳せながら観ていました。

むすび

猫物語を観てからーとも考えていたのですが、どうも年内に視聴出来ないようなので更新させていただきました。
今年は多くの方が年間でOP/EDを10本選ぶ記事を書かれているので嬉しいですね。早く自分も挙げて読み漁りたいと思います。それではノシ