OP/EDで見る長井龍雪にとっての「とある科学の超電磁砲」

超電磁砲OVA凄かったですね。もう制作スタッフが明らかに足りてない。今期J.C.STAFFは4本制作。いくら売れることが分かりきっているとはいえそんな状況でOVA製作とか視聴者をなめてるのかと。そんななかで長井監督は非常に頑張ってくれた。少しテイストを変えてオカルトを演出し、逆にチープな画面を肯定した。もうそれだけで泣ける。
そもそも今回の新OP、TVのようにキャラクター自体が動きまわる難しいカットなんてほとんど無い。自主制作8ミリ演出の真の意味なんて安い画面をごまかすためだ。上がってきた素材をいかにらしく見せるかを考えた上でこの演出を予め決めておいたのは予想がつく。
…と、散々OVAに苦言を呈したのは企画した行為に対してであって、監督をはじめ、製作・制作スタッフには何の罪もないどころか、今後のアニメ超電磁砲の展開を位置づけたような素晴らしく練られたものであることをむしろ賞賛する。たった一つのことを除いてだけれど。

                            • -

前置きが非常に長くなってしまったけれど、本論はいたってシンプル。長井龍雪監督が絵コンテ演出を手がけたOP/EDで徹底して描いたものを挙げるだけ。というかそれだけで充分意味は通じると思う。

  • 1クール目 ED


まず注目すべきは4人で並んで歩くときも常盤台と柵川中のペア。佐天さんと黒子で逆方向を向いている。
風車と魚のメタファ。風車が1つ横切っていく。4匹の魚のうち2匹ずつの魚や背景の色と併せて誰が主導権を握っているのかわかりやすい。
後ろと前というベクトルの中、ひとりだけ横を向いており、異彩を放つ。

  • 2クール目 ED


前のEDと異なり向いている方向は全て美琴であり、美琴の指示する方向である。扉を開けようと真っ先に手を伸ばすのも美琴。
全員集合するカットが3カットもあるが常に立ち位置が黒子−ビリビリ−初春−佐天さん。


まず冒頭カット、みんなでレールガンを撃つ真似。立ち位置からして常盤台と柵川中の垣根がない。
ビリビリにしか興味がなかった黒子が柵川中の二人を撮影。
美琴は基本撮る側であるが、不意に撮られる側へと回る。
黒子と佐天が向きあう。ここ、スカートを捲る側が驚くということはスカートの下に小細工がされているということにほかならないわけで、そんなことができる、やるのは黒子しかいないわけで…左天さんと初春のじゃれあいに黒子が加わっている。

衣装交換。佐天さんはビリビリの、ビリビリは初春の、初春は黒子の、黒子は左天さんの衣装。

フィルムが腕に絡んでいる。
編集作業で疲れて眠る美琴。それを起こさないようにそっと見守る後輩三人。
OVAのOPは全てのカットで涙腺が崩壊。

                          • -

もうね、ほんとくだらないことやってんなぁって感じ。他校の女子中学生同士が仲良くなっていく変遷。2クールとOVAの全25話使ってやったことがたったそれだけ。でもそこにいたるまでの障害は大きく、関係が続くことがまるで奇跡。
だからこそOVAのOP映像は価値がある。魂を震わせる。心から祝福できる。たどり着いた。終わっている。
だから、だから眠った彼女をもう起こさないでくれっ!

・・
・・・
・・・・
蛇足…というか今回のオチ。アニメ超電磁砲の敵は最後まで悪ではない。