舞-HiME

舞-HiME COMPLETE [Blu-ray]

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まずはじめに喰わず嫌いしていてごめんなさい。本当に面白かった。非難轟々の宇宙をかける少女小原正和監督で評価のいい作品を見たかったという理由だったけれど吉野弘幸脚本の良作も見た気はする。マクロスFが残念だったので。
ぶっ飛んだ最終回への情報の見せ方や展開の仕方がよく出来ていた。各話ごとに時間が飛ぶ辺りや異能力の設定、個人のぶつかり合いに帰結するなどスクライドを彷彿させるなぁと思ったらクリエイティブプロデューサーに谷口悟朗とあってなるほどと思った。
戦闘描写と、レイアウトの凝った演出は見ていて結構興奮した。特にみことの常に剣を地面をこすりながら火花を散らすエフェクトは中二と言われようと燃える。12話のアンドロイド&モンスターVSメイン3人は継続のモチベーションになった。
ストーリーは8話をすぎて一気に面白くなった。それまでは濃いキャラデザや異能力、だらだらとした日常パートと恥ずかしいキーワードに会話と見ていてきつかったのだけれど、それ以上に主人公がどれだけ酷い目にあうかが楽しみでならなかった。
音楽が梶浦由記・・・といえばゴシックホラーチックなものや民謡音楽チックなもののイメージだけれど、意外と癖がなかった。明るく聞きやすいものが多かった印象。それに使い方がうまかった。癖が強い分丁寧に音量や場面をコントロールしていたので違和感がなかった。
以降ネタバレ
トンデモ最終回までのネタ振りが本当にうまかった。仲間が能力と想い人を次々に失い、廃人になっていたものを、最終回に生き返らせて能力も復活させ、大団円で終わる本作。普通に考えればご都合主義と切り捨てられてもおかしくないのだけれど、そうさせないだけの説得力を展開、世界観、設定できっちりと説明していた。姫という恥ずかしいキーワードすらそのための語感チョイス。素晴らしい。ずっと楽しいOPだったしね。
両親を亡くし主人公が生きる意味だった弟、友人、恋する事を失っていき、このまま闘いが進むと手に入るなんでも叶える力を手に入れた際の新しい世界を夢で見せられるも、全てが手に入る世界を否定した。恋した相手を失い、もう何も残らないというほど貶められても、人を愛する心、信じる心だけは失わなかった。戦うことを拒否し続けた主人公は、だから最終話に今を生きる現実の世界で一番理想的な世界を手に入れた。
23話の執拗なシホのフラれる描写は、24話アバンの主人公の理想的な世界を視聴者にも気持ちの悪いものにさせる、そしてその後の展開につなげるよく出来た構成だった。
最後の命VS舞衣の絡みなんかも第1話のファーストキスの下りでやってると言える。
最終回、宇宙をかける少女のレオパルドのボケは小原監督の好みなんだろうな。堪忍なぁは盛大に突っ込ませてもらった。
そして不幸な舞衣の中の人中原麻衣しょっぱなから光と水のダフネのマイアを彷彿とさせ続けた。