ソウルイーター 11話

こういったバトルものの説明口上ですが、このアニメの場合、そういったキャラが現場にいないせいか、温度が違いすぎて戸惑います。
しかし、その間の悪さも吹っ飛ばすほど刺激に満ちた演出、絵コンテでした。心象風景、陰影、アングルと、口数の少ない会話。こんなに攻撃的なものをみたのは久々かもなぁとおもったり。

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椿の花は何の特徴もなく、香りもなく、散りざまも無様
生まれてくる際に、受け継がれるだろう能力を全て椿に取られた兄
椿は自己主張もせず、兄に従った
そして兄は妖刀の道へと進むことになる

精神の戦いから、幼少時代の傷を舞台に移した精神攻撃、いるはずのないブラックスターの言葉、成長した椿、そして青空。
心象風景が展開に合わせて変わるさまは見ていて非常に刺激的でした。

刀で串刺しにされ、言葉でなじられ、光を失った目。
しかし、ブラックスターの言葉で、影で隠れていた目に光がともる。
「もう気を遣いません。兄さんは、私が止める」
今回動きの良い作画もみれましたが、一番の見所はここじゃないかと。

「無駄なことを。粋がったところで所詮おまえは香りのない陳腐な花だ」
「違う!椿だって香りがあるんです!!」
兄の精神世界を吹き飛ばし、自分の世界に書き換えるほどの一撃

妖刀に吸収される椿
目立ちたがり屋であり、めちゃめちゃ心配しているはずなのに、けっして手を出さないブラックスターに感動してしまいました。

そして結末は胸を刺された椿と

「お前の気持ち見せてもらった、いい香りだ」
消えようとする兄だった

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前回
>実はこれでこのエピソード終わっていたら神だなとか心の中で思ってました。
>肉体の戦いから魂(心)の中で戦いが移った時点でもう決着はついているという話で。
とのたまいましたが、甘い、甘い、激甘だよ、なおたくん。
肉体面の勝利は結局ブラックスターの力のおかげであり、実際の力は兄のほうが断然強かったみたいです。
今回のエピソードでは決意を述べてからは怒涛の勢いで攻めたわけですが、最後は勝利したものの、その実力差は埋まったのかどうか。
埋まってません。
渾身の一撃すら防がれ、またも串刺しにされた椿は実力では相当劣っているのでしょう。結局、精神世界も元の紫色に戻りましたし、刀に吸収もされましたし。
コンプレックスから椿の態度に哀れみを受けていると感じていた兄は、椿が自分と真正面から全力で立ち向い、最後の一撃による精神世界の書き換えにより、椿の心の美しさを知ります。自分が愛し、認められたかった妹の想いを知り、満足して消えていったのでしょう。

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フルメタルパニック 17話
演出:松尾慎・絵コンテ:松尾慎
アニメオリジナルのエピソードでも今回のような刺激的な演出でしたが、ソウルイーター11話はこれの再現でしたねぇ。

陰影のつけかたやぐったり感。

何度も何度も戦闘の合間に鳥の描写、空の描写を入れて、事の顛末を突き放しながら見たり、象徴していたり。