EDEN

EDEN(2) (アフタヌーンKC)

EDEN(2) (アフタヌーンKC)

遠藤浩輝さんの作品は短編がとてもすばらしいので、どちらのほうをお勧めするか迷いました。しかもEDENは10巻以上続いていて実際内容もどうよ?といいたくなる状態。
それでも私はEDENを選びました。
とある病気で世界人口の10分の一以上が滅んだ世界。そのためサイボーグ技術が発展し、世界の仕組みが狂い、結果麻薬で纏め上げた組織が台頭し、国連の代わりに台頭した組織(プロパテール)と対立するようになるまでになった。
主人公は麻薬組織の息子で、父親の仕事を嫌いながらもドラッグ・暴力・SEX・立場といった周りの環境から様々な問題に巻き込まれ、また取り残されないようにむしろ進んでその渦中に加わろうとする。
登場人物たちも進化するウイルスや、ドラッグ、テロや対立する組織などによって常に死と隣り合わせであり、その中でも必死に自分の中の答えを探す様が描かれている。
私が好きなのはこういった設定がまだ明確には明かされていない1〜3巻の部分です。
プロパテールに追われた主人公はプロパテールの支配する地域から逃れようとアンデス山脈を超えようとするのだが、とうとう追いつかれてしまう。しかしその前に出会った傭兵組織と結託しプロパテールを迎え撃つ。
二巻11話「Rush」
ミサイルとガトリングで武装した戦闘ヘリ二機を迎え撃つ二人。武装は貧弱なガトリングと特殊徹甲弾のみであるが、二人の連携で戦闘ヘリを処理する。
軌道修正の暗号化を常に変換させた24発の誘導ミサイルとそれを全て防ごうとするサイボーグ両者の電子戦。
最後の一発を落とし損ねたそれは弾頭拡散タイプであった。
で次回の単行本へ。
この引きの上手さは浦沢直樹ばりだと思います。
戦闘シーンはハリウッドの映画でもこれだけ大掛かりなものはなかなか出来ません。
1〜3巻までは戦闘が主に進んでいくのですがこの戦闘がひと段落すると、以降は自分の立場に悩みはじめます。そのあたりはそのあたりで青臭く、なかなか面白いのですが、8巻以降は4年後となり、話しの展開がウイルスを中心に変化していきます。(このあたりからだらだらと話が・・・)
初期のころは純粋に戦闘と主人公の無力感・そして命の価値の低さに心惹かれていたのですがだんだんマンネリ化していったのは事実です。が、その場で考えたとしてもきちんと整理された世界観は特筆だと思います。
ちなみにおそらくハッピーエンドとは無縁の物語ですので、その点は理解したうえで興味を持たれた方はぜひどうぞ。