ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 雑感

毎回恒例ネタバレ有りのとりあえず思ったことをずらずらっと。
過去の記事はこちら。ただし読み飛ばし推奨。

要約すると、新劇場版は『新世紀エヴァンゲリオン』という潮流をアニメ化した作品である。散見されるループ設定もパラレル設定もオマージュ的な描写も全て、エヴァによって産まれた認識や類似作品といったあらゆる事象の総括であり、まさしく補完計画だ。
まぁもともとGAINAX自体は好きなモノを詰め込みたい制作集団で、自社他社問わず過去作品のパッチワーク的な所はあった。そこからスタジオカラーというスタジオを作り、系統立てた引用に商業効果を組み合わせた大人の仕事を魅せる庵野秀明監督の作家性を語るには十分な内容だ。Qは結局ゼーレの思惑通りじゃねーかというセルフツッコミ通りの結果に終わったのだが。
大災害。想定外のことが多すぎたという、作品世界に満ちた死のイメージ群。その旧劇場版にあまりに引っ張られた本当にどうしようもない酷い情景で、過去に囚われた象徴を捨て去って歩くシーン。当時絶望しかなかった幕引きの中を歩いていけるという喜びは、歓びという方が適切か。
TVシリーズ的には400%で融合した総集編的精神世界以降の展開の再構成だったが、あまり見られなかった精神状態を投影した背景描写が今の深夜アニメ風であったなと。サラウンド効果を使用した言葉の洪水や、旧劇場版の写実をCGで表現するなど、当時の演出を最新の技術で表現するとこうなるのかと。
それにしても『巨神兵東京に現わる 劇場版』には特撮としてのエヴァンゲリオンという視点をどこまでも意識させられた。同時上映なんてちゃちなもんではなく、もうアバンじゃないかというぐらいQのイメージにがっちり組み込まれている。起源としての特撮→庵野秀明作画の巨神兵。今回のミニチュア特撮という巨神兵は、新劇場版のCGで人形のようなEVA描写と非常に相性が良い。所詮ガンダムもロボットアニメなんですよーという富野的なアレ。

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結局全く予想を裏切らない展開と確認作業のような劇場体験でした。いくらでも他作品の名前が浮かび、企画意図から制・製作者の思惑や顔が浮かぶ地獄のような2時間。特にCGのチャチな戦艦描写には目も当てられませんでした。そんな焼け野原のような惨状だからこそ、あのラストシーンに心を奪われたのです。
おめでとう、おめでとう、おめでとう。ありがとう。
面白さとは何か、そんなことを突きつけるような映画でした。中身なんてどうでもいい、全てはあるがままだなぁと。超絶リッチな、手の込んだ画面は観ていてそれだけでも十二分に面白くて、終始ニヤニヤしてましたね。