月詠 -MOON PHASE- NEKO MIMI DVD-BOX各話感想1

月詠-MOON PHASE- Neko Mimi DVD-BOX

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一話見るごとに五分ぐらいぱぱっと書いてメモしたものを上げる試み。

  • 1話

一話の出来はやはり凄まじい。顔の表情でやたら芝居付けしているのが印象的。加えて口や目のクローズアップが多く、そこでも芝居付をしている。舞台的な画面とあわせて、お芝居的側面が強い印象。かといって短調にならないように主観ショットや大胆なアングルを差し込んで飽きないようになっている。
外国の街並の背景が浮いているように見えるのだけれど、日本人が街並みに溶け込まないといった感じになっていてよかった。古城内部で新房監督といえばヤマモトヨーコを思い出すけれど、懐中電灯で一部を明るくしていろいろ見つけるといったホラー映画っぽい演出はおっと思う。
斎藤千和の演技が若くてキュンとなる。葉月可愛いよ葉月。しかし一話は公式HPで見れるようになっていたからもう何回見たかわからないぐらい見てるんだけど、本当に面白い。作画とか今見ると荒い気もするけれど、全然そんなの関係ない。
キスシーンで動きが急激に加速して画面が引くシーンは緩急が効いていてBGMも最高潮に盛り上がっているせいか見る度にゾクゾクする

  • 2話

満月が出るとルナという人格になり、城の脱出を妨害しようとする。逆に月が翳ると葉月となって城を脱出しようとする。初見で多くの人がついていけなくなるのを無視してほとんど説明なくやっている所はさすが。このあたりの不親切さは新房監督がまだ尖っていた証でもある気がする。コゼットの肖像月詠と同じなのに売れないといった発言は今後の新房監督の制作方針として非常に重要。もちろんぱにぽにだっしゅが当たったのも大きいけれど。
この話数だと丸いものがクローズアップして描かれている。それは上記の月が翳ることと葉月が所持しているペンダントといった演出から、丸い玉≒ビゴーから逃れるために壊す。そしてカメラのレンズ≒耕平に付いていくといったやりとり。城が壊れて結界も壊れ、ペンダントの呪縛が解けてルナも消える。結局ペンダントと結界の球に縛られていた葉月は耕平=カメラに縛られるという。ただのモチーフでの話だけれど、今後そのカメラで撮った写真が話を動かす事になるというのが面白い。

  • 3話

マルミ堂断面図とたらい落としというドリフ的な仕掛けが本格的に始まる回。これを初めて見たときは衝撃的だった。今ではもう見慣れてるかと思ったけど、SEの配置が秀逸で普通に面白い。車内にも断面図を適用していて、手探りでとりあえず見せとくかといったおもあいが強いのかもなとか。キャラ芝居で可愛く見せようとしているのが成功している。
オブジェクトによる幾何学的なカットが目立つ。ステンドグラスでのフレームなど。武内宣之らしいというか。
冒頭飛行機で日本にきたときは飛行機を赤と青のライトで表現していたけれど、番組終了のエルフリーデに見られている際の車は赤色で、危険を示唆しているといったところか。

  • 4話

いきなり青い空間からエレベータ内の赤に彩色されたエルフリーデに襲われることで赤い空間になって笑った。このエピソードでは通してエルフリーデには赤いイメージがつきまとっていて非常にわかりやすい危機感を表している。
新房監督なのにモブに顔があってすごく笑ってしまった。このエピソードというか、月詠はわりと一般人が出てきて、いつもの閉じた世界とはやや異なる。このあたりはダンスインザヴァンパイアバンドも思いっきり外部の人間と関わるので楽しみの一つではある。
公園内での楽器の遊具かたんなるオブジェかわからないけれど、真意を掴みかねる。ただ化物語の特殊な公園を思い出した。あと満月の光を利用した黄緑のグラデーションがかかった夜空が美しい。

  • ここでちょっと休憩

DVD特典の設定資料集&エンドカードギャラリーは紙媒体も欲しかった。印刷で余計な出費を抑えたかったのはわかるけれど。エンドカードギャラリーはディスクごとに分かれていて一覧性が低いのが難点。あと解像度も低すぎる・・・ブックレットもDVD版の表紙&インタビューまとめと物足りないということで、なんとなくおざなり感が残念だなぁと。

  • 5話

四話で赤の噴水をエルフリーデが背負って黄の噴水を葉月が背負っていたのだけれど、今回は逆になっている。もともとエルフリーデには危害を加える気はないので葉月の警戒心、敵対心による入れ替わりなのかな。その後も演劇のスポットライトのように噴水の色が感情に合わせて変化していく。
使い魔の攻撃を回避する際にドタバタのギャグテイストを挟んだり、真面目な話をしていて違和感なく金ダライを落としたりと月詠独特のテイストで進む物語。脚本では金ダライを一切指示しなかったというのだからまさしく演出の妙。

  • 6話

軽い実写サンプリング、夜空に全編とおして黄緑がかったフィルターをかけたり、暗所で色が知覚できない事によるモノトーン配色、ライトアップされた背景と血をモチーフとしたもみじの赤のみ色をつけるといった演出にわくわくする。尾石達也が新房監督のもとで初めて演出したこのエピソードはかなり好き。たしかこの演出があってTV版最終回の演出・コンテも任されたらしいので、今後のシャフトを語る上でもかなり重要なエピソード。