レポートですよ

復活しました。いえ〜い
かしましを先生におすすめなのですよ
でも別用紙で資料としてキャラ紹介と「あのね」のシーンを学校のカラー印刷機で印刷したときは終わったなって思いました。

なぜこれを紹介するのか
かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜」はテレビで12話まで放送しましたが、12話から4ヵ月後を舞台に13話としてDVDで販売しました。しかも12話の最後が「あのね…」と台詞が途切れるように終わってしまい、放送終了後DVDで13話があると発表されたために、ネット上ではDVDを売るための戦略「あのね商法」と揶揄されました。
今回注目したいのはDVD7巻(13話)にある中西監督のインタビューの一文「第13話がOVAで付くことも最初から決まっていたので、全体の構成は決めていました。〜中略〜その中の選択肢として、第12話と第13話ができたんです」です。OVAを付けることを決めたのは製作サイドでしょうが、「あのね」で終わる手法は制作者の意図ということです。制作側が期待を持たせてDVDを購入させるための戦略を行うでしょうか?
私はこの「あのね」に込められた意味に非常に興味を持ちました。そして13話までの構成や、演出などから「あのね」で終わることはとても面白い試みだったと感じました。

かんたんな作品紹介
かしましは原作:あかほりさとる、作画:桂遊生丸により2004年からコミック電撃大王メディアワークス)で連載されている漫画であり、2006年1月にアニメ化・小説化、3月にゲーム化されました。
アニメのスタッフは監督:中西伸彰・シリーズ構成:花田十輝です。Wikipediaで調べると中西さんは今までは子供向けの作品が多く(魔方陣グルグルやビーダマンなど)萌え系の作品は今作が初めてのようです。花田さんは(ローゼンメイデンまほろまてぃっくなど)萌え系の作品の脚本やシリーズ構成を主に手がけています。
舞台は高校の二年目、とある事故でDNAまで女になった優柔不断な主人公大佛はずむ・気が強いが素直になれない幼馴染とまり・完璧な女性に見えるがある悩みを人知れず抱えている神泉やすな・遠くから物事を冷静に見ている摩利あゆき・親友が女になって戸惑う曽呂明日太などの登場人物が、一緒にいたい・気になる・守ってあげたいといった恋愛まで一歩届いていない純粋な気持ち、素直に相手を想う「純愛」をテーマに描かれています。

コンテンツの特徴
① メディアミックス(クロスメディア
もともとこの企画は「電撃大王でメディアミックス展開が可能な作品をやろう」という元で練られたものです。漫画で世間に発表し、コミックマーケット68(2005年夏)でイメージソングのCDブックの販売・秋からのインターネットラジオ等、アニメへの地盤を固めていきました。アニメの放送にあわせて小説も出ているのですが、小説はコアなファンが手にするという事から、三人のキャラクターの心の動きを前面に押し出したものになっています。アニメ化以降はキャラクターたちが歌うイメージソング集・サウンドトラック・ゲーム・放送終了後12話の続きにあたる13話のための伏線である12.5話を含んだドラマCDなど、メディアミックスの典型で展開していきました。そしてこの秋にOVAであるDVD7巻(13話)が発売されました。
② アニメの演出
アニメでは漫画の2巻までがアニメ化されました。漫画では3人の関係に少し変化が現れますが、結局中心人物であるはずむが二人のことが好きだと改めて確信するところです。しかし公式ファンブックのインタビューにあるように、一つの物語を終えるうえでなんらかの成長をさせたいと考えた制作スタッフは、はずむにどちらか一人を選ばせることにしたそうです。
中西監督がアニメのオリジナリティーを出すために重要視しているのは映像的にドラマティックにということです。また演出として「間」にも相等気を配ったようで、キャラクターの心情を理屈で理解するのでなく肌で感じれるようにしたかったとあります。実際1つのエピソードに対して余韻があり、展開もゆっくりです。そのため最近見られるような1クールにいろいろな設定や展開を詰め込んだような話ではなく、一つ一つの出来事をキャラクターたちが真剣に捉え悩む姿が、言葉でなく感覚で理解できるようになっています。
花田さんのインタビューで心の動きを綿密に追ったので、別のキャラクターに注目して見てもらうと、また違った物語が展開できるとありますが、これも中西監督の「間」によるものが非常に大きいと思います。

「あのね」で終わる演出について
13話の内容は「あのね」という言葉以降の話が続くのですが、12話までとは少し異なった作風となっています。展開が速く、今まで語らずに見せていた心情が台詞で表現されています。内容自体も12話まで感じ取れた事柄を明確な言葉で説明して、きれいにまとめているような物語でした。
これは12話までで「あのね」以降の物語は中西監督のいう「間」により示唆されているということでしょう。「あのね」とは映像で魅せたかしましの最後の演出というわけです。全ては語らないが見せている状態でテレビシリーズは一つの形として終えており、13話の存在は12話の続きでなく、ファンディスクのような位置で制作されたと感じました。

売り上げと世間の評価
 さてこの商業主義と捉えられたアニメがどれだけ売れたのでしょうか。オリコンのデイリーチャートで初日のDVD1〜7巻の売り上げ平均が2700枚程度です。ゲーム化までされるような作品だと4000枚は売れているのですが、こうしてみるとかなり少ないと思います。
 世間の評価も当時のブログで12話の終りかたに不満を持った記事が多く見られ、続きはDVDで見せるのかという声が高まり、アニメ自体も批判されました。
かしましのクールではDVDにアフターストーリや続きを加えるような作品が多かったので、「あのね」で終わらせたかしましに一気に批判が集まったようです。批判されるということは多くの人が注目していたということであり、注目度のことを考えると4000枚は売れてもおかしくない勢いだったのではと思います。
またトーノZEROさんの様に12話で完結と見て、13話の商法主義を擁護する人も少数ながらいます。

まとめ
ただ私はトーノZEROさんのように優れた結末と見ることは出来ません。なぜなら私自身、この物語が12話できちんと完結したということは、13話の構成・演出を見るまでは気づかなかったからです。今回「あのね」で問題になったのは「12話で終わっていない」→「あのね以降はDVDを売るための戦略か」という考えが世間に広まったためです。しかし上記のように「あのね」を捉えられた人がどれだけいたのでしょう。
監督が非常に気を使った「間」で視聴者は想像できる部分を与えられたのですが、その結果がこの混乱を招いた原因でもあります。DVD7巻の中西監督のインタビューで「初めてのジャンルだったのでいろいろと挑戦させていただいて〜以下略」とありますが、非常に野心的な試みの作品であったと思います。なによりキャラクターの心情に勝手な創造ではなく、一つ一つの行動などで想像する余地がある作品はあまりないのではと思います。世間的には「あのね」という終わり方は認められなかったようですが、私はこの作品の「間」の表現と、最終回の表現手法について非常に面白く実験的な試みだったと思います。

参考WEB、書籍
かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜,BANDAI VISUAL,2006/11/12,オンライン
http://www.kasimasi.com/index.html
・ぬるヲタが斬る,西尾西男,最後の数話はDVDでという売り方は「あのね商法」と呼ぶらしい2006/11/12,オンライン,
http://nuruwota.blog4.fc2.com/?q=%a4%ab%a4%b7%a4%de%a4%b7&page=1
Wikipedia ,検索ワード「かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜」「中西監督」「花田十輝」.2006/11/12 ,オンライン
・かしまし公式ファンブック,電撃大王編集部,株式会社メディアワークス,ISBN4‐8402‐3409‐4,p112
2ch,発言267,デイリーチャート補完スレ〜DVDアニメ&特撮・最新〜,2006/11/12,オンライン,http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/music/3914/1071968547/206-
・Ride The Time!オータムマガジン,トーノZERO,ファンの質の低さに呆れ果てる!この優れた結末を「あのね商法」などと金儲けの手段扱いするのか!?,2006/11/12,オンライン
http://mag.autumn.org/content.modf?id=20060416031400