その ボッコロの日に・・・

気づけばもう街は水に沈んでいた。アクアアルタの日に暁に呼びだされる灯里。行ってみるとかご一杯のバラを背負う暁。今日は親しい人に一輪のバラを渡すボッコロの日。しかし暁はアリシアさんへの思いは一輪では足りないと、バラを集めるために街中を歩きまわるという。手伝いに借り出される灯里。

街中でさまざまな人と出会いながら進んでいく。パン屋からもらった花を義理ですけどね、というアリス。長靴が脱げたためいっそ脱いじゃえと裸足になる二人。水面に映る空や通りの景色を見て「鑑の国にいるみたいですね」恥ずかしい台詞禁止!と急に現れて突っ込む藍華。せっかく花を持ってきたのに、子供のころのネタで脅され、ツケにされてしまい泣いて帰るウッディ。広場の花屋で値段交渉をする暁。

そしてアリシアさんに渡す練習をする二人の後ろに突然現れたアリシアさん。ゴンドラいっぱいの花を暁→灯里と勘違いされ、颯爽と行ってしまう。あわてて追おうするがゴンドラをひっくり返してしまう。

バラが水面に広がる。まるで大昔の恋人たちの思いが人の心に広がっていくみたいに。

その台詞に重なるように流れるみんなのボッコロの日。いっぱいの花に囲まれながらも一枚の手紙を見て微笑む晃。うれしくて花瓶を倒そうとしてしまうドジッ娘モードのアテナ。そんなアテナにうつむきながら花を渡すアリス。石を磨くときれいになりますよ、と藍華にバラの花でなくバラの瞳という宝石の原石を渡すアル。浮かんでいるバラを拾って投げる暁。「今日一日付き合ってくれた謝礼だ」初めて男の人からもらいましたという灯里に少しドキッとしてしまう。灯里にとっても少し特別な日となっていた。

                                                                                  • -

ボッコロの日の由来は高貴な娘に恋をした下級貴族のお話で、認められようと戦争に行くが真っ白なバラの茂みで力尽きた男は自分の血で染まった白いバラを送ったという話でした。その男哀れだな…。暁の名台詞に、おぉ!ARIAらしくない、と思ってしまいました。二人とももういないのに、彼の思いだけが赤いバラとなってまだ残っているんですね。今までスルーしてきて真面目に対応していた暁ですが、とうとう恥ずかしくなったのか「恥ずかしい台詞は禁止だ」と冷静に突っ込む姿に惚れました(どこに?)。昔の人の思いが現在にも伝わっていくという灯里が感じたボッコロの日の一面を、水面に広がるバラとみんなのボッコロの日の様子で表現されていて、上手く説明できませんが、とてもよかったと思いました。
しかし、今回の名シーンは間違いなくこれです。
あらあら、うふふ(灯里)。荷物運び用のゴンドラごと持ち上げて渡そうとする暁。そしてもちろんドモる。似てないぞ!え〜結構自身あったのになぁ…。
ギャグ絵で展開されるこのやり取りは危なかったです。葉月さんの名演技でした。朝7:00にこれはもったいない。もっと元気なときに見たかったです。

                                                                                  • -

作画崩れは二期の初期にはいろいろ文句を言いたいこともありましたが、自分の中ではもうなくなったと言えるようになりました。話の構成はとにかくみんなにスポットが当たってよかった、の一言。話のメインキャラがいて途中で脇役のキャラがちょっとしたエピソードとともに現れ、また消える。この形って好きなんですよね。やっぱりみんな大事にされてほしいんで・・・。しかも今回はそのまま消えるだけでなく、最後で話を盛り上げる重要な位置にいましたし。スタッフの皆さんがARIAのみんなを大事にしているよう事が伝わる話だったと思います。