Angel Beats! 〜ルールがそのまま形となった世界〜

説明台詞の詰め込み、突然の過去回想といったエピソードの唐突なつなぎなど映像作品としての欠点を抱えながらも、最近わくわくして仕方がない。たしかに以上の事柄は欠点なのだが、物語の展開が楽しいので気にならない。展開のスピードを考えると致し方ないという感じ。
1話で記憶をなくした主人公の立たされた立場や世界のルールを説明し、2話でその補強と物語の形式化が行われた。しかし3話では既に冒頭の説明に反する事例が起こり、4話で既に主人公が懐疑的になる。とうとう5話で敵との対話を試み、6話では敵という認識そのものが間違いであり、最初の説明が異なっていることを完全に把握した。
まだ6話なのにクライマックスのような展開。提示した問題の答えが出ることで完結したように見えるため、別の世界の話になるかと思った。死んでも生き返るというゲームのような世界。神になったとうそぶく少年に全滅させられたSSS団、次回はっと目覚めて現実世界に戻っても全然おかしくない。
別に物語もやってることも珍しくはない。運命に抗うとか閉鎖的な状況の打開とか、価値観の相違による亀裂等、それこそレールガンだってその枠で話が作られている。それでもABが面白いのはそのことを直接表現しているからだろう。まるで別次元のありそうでありえない、そこにあるかのように描かれた仮想世界で、上記の問題点が比喩として隠されて存在しているのが普通の物語。しかしABでは神によって作られた死後の世界で、しかも死にませんと一話ではっきりと言われる。この世界=ルールという提示によってカタルシスを与えるであろう現実世界の問題点こそ世界であり、頻繁に起こる主人公の認識の変化が世界の変革に直結する。
この世界=ルールという作品で自分が衝撃を受けたのはひぐらしのなく頃にで、それよりも冒頭から一層直接的に表現されたABを好きにならないわけがない。まして原作が自分が好んでいるアニメという媒体なのだから。