化物語


一クール五編からなる物語。一編毎にOPを作ると聞いた上で絶望先生を同時に制作(他にひだまり、ネギまOVAも)と、いったいどうなるかと思いましたが、総集編をはさみつつ明かな事故は10話のみと、何も知らずに見ているならば原作の持つ楽しさをよく引き出した、いいアニメ化だったと思います。内情やスタッフクレジットを知っていると、あきれるというか、感心するというか、よく無事に乗り切ったなぁと思ってしまいますが・・・
正直制作本数は絞って欲しい気がします。現状での本気(というか狂気)は感じるのだけれど、余裕をもって本気を出した作品が見たいのもまた事実。ただ新房シャフトのフォロワーがないのが現状。毎クールこのタイプの作品がないのは寂しい気も。
演出はエピソードごとに特徴があった気がします。演出というよりは、舞台設定に近いかもしれないです。夕暮れの教室と夜の廃墟。昼の公園と閑散とした街並み。尾石的黄色の夜や白い教室。神社や道程を美術背景のみでつなぐ。と、それぞれ舞台が限定的だからこその雰囲気作り。
そして演出が独特であるが故、感情の部分で声優の力に依存しているのは相変わらずといった印象。もちろん制作状況含めて。いつものメンツだからこその安心感。記号化されたキャラクターの性格と記号的に反復する演出、しかし決してテンプレートには則らない会話で表現されるドラマと声優による芝居力。この一見合わない感覚が、時にドラマCDでいいと言われてしまう新房シャフトの最大の持ち味ではないでしょうか。
あららぎ視点で見るに作品の感情のメインラインはひたぎであるため地上波としての区切りはとてもよかったです。原作にない過去エピソードの羽川との出会い(パンツ)を入れて、未放送版最終回として羽川の事件解決というのは製作としてもよく練られていると思います。