その 逃げ水を追って・・・/その 夜光鈴の光は・・・

夏の照りかえるような陽射しに包まれるアクア。遠くはかすんで見えるほどの暑さです。

蜃気楼が出るような暑い中、灯里はアリア社長と買い物に出かけます。午後二時の一番暑くなる時間、とおりもゆらゆらと揺らめいて見え、灯里も朦朧としています。しばらく歩いていると夜光鈴の音が聞こえてきます。まだそんな時期ではないのに。そう思うといつの間にか夜光鈴の屋台に囲まれていました。アリア社長が前を行きますが、いつまでたっても追いつけない、不思議な空間に迷い込んでしまった灯里はチンという涼しげな音で不思議な店の前に立ちます。そこはアイスミルクのみの店。アリア社長はすでに中でくつろいでいました。一息ついた灯里にマスターは言います。逃げ水は追っても追っても追いつけないもの。けど逃げ水に追いついたらどうなるのかしらね?。店内の時計は二時でした。追いついてはいけないものに追いついてしまった灯里。店中に猫の目が光ります。さぁそれを飲んだら行きなさい。マスターは素直に返してくれました。どうやら暑さにばてている灯里にミルクをご馳走したかったようです。

怖い。まさかARIAで鳥肌立つと思わなかったです。時間がちっとも進んでいないことに気づいたときの灯里のあの顔はひぐらしの圭一やレナもびっくりです。買い物に行く際の通りの蜃気楼や灯里の表情、白昼夢の様子など、見ていると暑さが伝わってきました。その対比としてあの怖さ、気持ち悪さから来るうす寒い感じなど、原作を知らないのでそこまで強くは言えないですがアニメの勝利だったのではと思います。猫エピソードのなかでは最高級の出来。

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一目ぼれした夜光鈴と夜な夜なお茶会をする灯里。そして夜光鈴が落ちる日、みんなの夜光鈴が落ちていく中、灯里のものだけは結晶が残りました。涙が浮かぶ灯里。きっとおわかれしたくなかったんだよとはアイちゃんの弁。
夜光鈴の落ちていく様子が凄くきれいでした。イメージとしては水辺の線香花火でしょうね。と、いいますか本当に毎日お茶会をやっていたんでしょうか?それはいくらARIAでもねぇ・・・ただ人目惚れしたものを見ていたい、ずっとそばにおきたいという気持ちはわかります。しかし灯里の涙は予想外でした。

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ただねぇ・・・いや崩れすぎ。かつてない崩れ顔の崩れっぷりにもはやこれはボケなのではないかと思うほどの崩れっぷり。逃げ水はよかったんですよ、あの壊れ具合が。ミステリアスな話ですし、暑すぎるという非日常でしたし。しかし一応夜光鈴は人も見せ所でしょう。涙のシーンも丁寧に描こうとしている気はしましたが魅せ方として失敗していたのではないでしょうか。もっと素直に涙がはらっと流れるほうがよかったです。加えて灯里が夜光鈴と共に過ごすシーンは、その前に説明が欲しかったです。「そうだ」の一言以外、何の説明もなしに夜光鈴にべったりのシーンを次々と見せられたのでは、視聴者は少し置いてきぼりを喰った感じがします。もう少し、こうアリア社長でもいいので「きれいですねー。あ、そうだ」から「夜がこんなに楽しくなるなんて」(いい台詞がでない、うぅ)みたいな言葉は必要だったと思います。構成に難有というのはさびしいですね。ただアイちゃんの台詞は久々によかったです。逆に逃げ水は話のテンポ・表情・声優の演技と完璧だったと思います。