絶園のテンペスト


この作品における魔法とは、何でもできる万能の力ではない。物体強化、高速移動、強力な力を秘めたマシンガン、タイムパラドックスのない時間移動と、非常に地味な小道具でしかない。そんなものを片手に世界の命運に対して、自分たちの主張こそが正しいと論じる姿は滑稽でしかなかった。
過去に囚われた二人の少年は、古典文学を引用する少女に導かれ、その醜い言い争いに巻き込まれる。役割を全うした彼らが、自身の意思で掴んだものについて、ほぼ描かれること無く幕を閉じたのが美しい。