深夜アニメを生涯をかけるに値する趣味にするたった3つの冴えないやり方 〜本編視聴編〜

注)この記事は【深夜アニメを生涯をかけるに値する趣味にするたった3つの冴えないやり方 〜心構え編〜】の続きとなっております。できればそちらに目を通してから読んでいただけると幸いですが、ここからでも不都合ありませんのでお任せします。
まず以下自分語りのため読み飛ばし推奨です。タイトルだけ見て気になるという方は、囲まれた部分から読んでいただければと思います。

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「私は深夜アニメを見るのが趣味です。」
ふと気づくと、深夜アニメを日常的に見るようになって、8年近くたとうとしているよう。このブログも6年、ツイッターはもうすぐ2年。思えばずっとアニメのことばかり考えてアニメのことを文章にしてきたなぁと。
感想記事の変遷でもわかりますが、アニメ本編視聴時に様々な見方をしてきました。その中でも長年やり続けているのが、クレジットを読むという事です。監督・脚本・演出・原画・撮影・色彩・音響・制作会社・製作会社・プロデューサーエトセトラエトセトラ。その経歴や関係、技術といった様々なものを抽出し、他作品へと還元する。そんなことを繰り返してきました。
ただ、それが本来あるべき楽しみ方というわけではありません。あくまでアニメを趣味にしている一環、そういう楽しみ方も出来るということで、アニメ本編でなく、クレジットを楽しんでいるとも言えます。漫画をとかく大量に読む【漫画読み】と呼ばれる人がいますが、作者の過去作品は読んでも、編集やアシスタント、単行本の装丁について細かく言及しているのをあまり見ません。
究極的に言ってしまえば、深夜アニメを趣味にするなら、楽しんでアニメ本編を見ればそれで十分なんですよ。作り続けられる深夜アニメを見続ければ、一生の趣味になるでしょう。ただ、生涯をかけるのであれば、自分が楽しいと感じているものの正体について知り、より楽しみたいと思います。好きなモノはより深く知りたいものだから。
漫画は独特な表記や文法といった表現によって、読み慣れていない人にとっては難しいという事はよく聞きます。しかし、アニメではそのような言葉は聞きません。アニメは映像であり、表現としては現実に近いという感覚があるからかもしれません。実際には時間や対象が飛び飛びに繋げられるような映像は、現実的ではありません。アニメ本編を深く知るにはその表現自体に目を向ける必要があります。
こう書くと、映像表現の勉強の必要がある。そう結論づけてしまいがちですが、アニメ本編を見ることを趣味とするのにそこまでする必要はないと考えます。そもそも直感的にわかるように演出されているものなので。ただ、そこに意識を向けるだけで見えるものがずいぶん変わります。
前置きがずいぶん長くなりましたが、ここでようやく本題です。自分が行なっているアニメを本編を見るうえで意識している3つの方法を紹介したいと思います。

  • サブタイトルを見る
  • 緩急を見る
  • フレームを見る

小難しそうなことを書きましたが、それぞれ簡単に解説をしましょう。あと映像演出の技法書なんて一度たりとも読んだことありませんので、失笑モノだったらどうしましょうね。舞台音響と音楽の本は数冊程度読みましたが(笑)

  • サブタイトルを見る

深夜アニメはクールという限られた期間で物語を描くため、各話において話の立ち位置が明確で、イメージが徹底されているものが多いです。読み取る際は【サブタイトル】を意識する事がとても効果的です。エピソードの看板であり、本編のモチーフやキーワードを追うための道しるべになってくれます。
ましろ色シンフォニー』【おなじ色のフタリ】では、様々な二人組が描かれました。共有する部分が入れ替わり立ち替わり、次々に変わる二人組を描いた映像は、どの二人組が恋人関係=【ましろ色】となれるのか探すようでした。

  • 緩急を見る

『C3』【狂信者は何処かにいる】では、時計の秒針が刻まれる映像と交互に敵が主張を延々まくし立てます。加えて監禁場所では、そりが合わない仲間から不快な発言を聞かされ、反論する前に気を失わされます。そして逃亡中の車の中で仲間から正論で諭されます。今までにない音量の「いい、もういい、もうウンザリだ…」という抑圧からの解放は、視聴者も共感できるものとなったのではないでしょうか。
映像として強調された部分は本編でも重要であるとわかると思います。そこからもう一歩踏み込み、強調される流れまで見えるとより面白くなります。緩急はなにも動きだけではなく、物語であったり、暗い映像からの明るい光だったり、速い大量の台詞からの痛烈な一言といった変化を指します。

  • フレームを見る

アニメを見ていると、どうしてこのような映像を持ってくるのかな、と思うことがあります。この気づきがあるから自然に映像の意味を考えたりするのですが、【どうして】という疑問をもつための準備段階として自分が心がけているのがフレームを意識するということです。ちなみにフレームというのはテレビ本体の枠のことです。
アニメ映像の制作過程は、四コマ漫画のような枠線の中に、キャラの配置とだいたいの動きを描いた設計図(=絵コンテ)を作ります。それを元に四角の紙にレイアウトを取り、パラパラ漫画の要領で動きが付けられます。PCに取り込んで色を塗ったり、つなぎ合わせたり、特殊効果を入れたりします。そうして出来あがった映像をモニターで確認し、余分なものを無くしたり、入れ替えたりと編集します。
本当に大まかに説明をしましたが、全て四角いフレームの中で映像が作られていることがわかると思います。そこで、見ている人間もフレームを意識することで、映像を作った人達の気持ちに近づこうという事です。
『WORKING'!!』【ポプラの意地】を実況風に見ていきます。
*画面の下部で行われる小学生と同じ身長の女子高生の交錯、一直線に走ってます → ちっちゃくてかわいい。
*暗く細い空間からゆったりと現れ、鏡を見る背の高い女子高生 → 1期でずっと悩んでいたけれど、ようやく自分の気持に気づいたのかな
*ファミレス空間 → 息抜き
*繰り返された走る姿は頭半分しか見えてない → 一心不乱に走っていてかわいい
*ゆったり歩く女子高生を追っていくと突然カメラが止まる。「おはようございます」というあいさつで意中の男のバストショット → あぁ女の子の視点か。本当に好きなんだなぁ
*少し飛ばして、意中の男を中心に捉えた画面、横から無言で現れる笑みを浮かべた男 → 邪魔しやがって、ウザイ
というような感じでしょうか。
何も難しいことを考えているわけではありません。フレームを意識することで、画面に何が描かれているのかが見えてきて、脳が活性化されて、いろいろ思考が巡って、なんとなく楽しくなるという話です。

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アニメ本編から読み取れるもの。テーマ・リズム・パーツ、だんだん時間で微分していくような並び方にしました。森→林→木ともいえるかもしれません。実行する場合は後半のほうが難しいのではないかなと思います。自分もはじめはテーマを、次にリズムを、そして最近はパーツというように注目していくものが増えていきました。
どうせアニメを30分見るのなら、ただ眺めて楽しむよりは、様々な楽しみを見つけたい、そう思います。クレジットを読んでいろいろな繋がりを見出すことは、とても楽しいです。でもそれって、アニメ本編が終わった後の楽しみ方なんですよね。そうではなく、アニメを見る事をより楽しみたい。だって【アニメを見ること】が楽しくて、好きで、好きすぎて、生涯をかけても悔いはないぐらいの趣味にしていきたいから。そんな想いで今回の記事を書きました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。今後も素敵な深夜アニメライフをお過ごし下さい。今回の記事が少しでもその手助けになったのであれば、幸いです。