2010年アニソン

・基準は2010年に流れたアニメソングです。
・歌以外にBGMも選んでます。
・視聴リストは割愛しています。そのためどういった作品の中から選んでんだよという批判はごもっとも。一応OPEDは全作品の9割がたカバーしているつもりですが、挿入歌やBGMは視聴したものでしか判断していません。
・選考基準はアニソンといいつつ映像重視です。気に入ったものの中から「特にこれは」というものを4作品選んでいます。優劣は便宜上のものと考えてください。
・毎クールOP/EDのメモを残してあるので興味が有る方はこちらもどうぞ

大賞 優秀賞 特別賞
OP けいおん!!(2クール目) WORKING!! , ヨスガノソラ とある科学の超電磁砲(OVA)
ED はなまる幼稚園 いちばんうしろの大魔王 , 神のみぞ知るセカイ 迷い猫オーバーラン!(6話)
挿入歌 けいおん!!(23話) 神のみぞ知るセカイ(7話) , STAR DRIVER 輝きのタクト ヨスガノソラ
BGM 百花繚乱 SAMURAI GIRLS(6話) とある魔術の禁書目録II(7話) , パンティ&ストッキングwithガーターベルト(2話) B型H系(12話)

OP


毎年OPは何を選ぶのが正解なのか悩んでいますが今年はおもいっきりベタなものが並びましたね。というよりも作品への思い入れが強すぎるような気もします。もっとこう「この映像すごい」みたいなモノを選ぶのが趣旨だったような気もします。でも好きだからいろいろ見えちゃうんですよね。仕方がない。

けいおん!!は1クール目のCG調"回転"というガジェットが次クールアニメOPにいくつも使わることになり、OPを語るには重要なポジションを獲得していました。
ならばこそ選ぶべきかとも思いましたが、今年のアニメNo1の地位と言っても過言でない作品を導き方向づけ表現しきっている2クール目OPこそ優秀賞という言葉がふさわしいのではと。
石原立也のOPは1カット1アクション全てが徹底しています。レイアウト、芝居のタイミング、光源などなど全てにおいて作りこんでいて非常にスタイリッシュです。
対して山田尚子のOPの隙の多さといったら。横一列に並んだ単調なレイアウト、間の抜けたアクションに表情、「大好き」ってなんなのさなどなどツッコミどころ満載です。しかし照れを隠さない、思いついたことはやってみる、やることなすこと楽しくって仕方がないという雰囲気こそけいおん!!に相応しいのではないでしょうか。
あの世代ならば持っているのではないか。そう信じさせる力のある、力技の映像こそけいおん!!だったなぁと思います。

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WORKING!!は映像として申し分ないですね。映像に最低限必要なオブジェクトと音楽に合わせた小気味いいアクション、フキダシともデザインともつかないテロップを舞台装置に組み込んでいたり、果ては背景がまるで書き割りとでも言うような影の付け方とシンプルな割に凝った映像になっています。
キャラクターの頭身も高く線も細かく描きこまれているのにリアクションが記号的な本編でしたが、OPはとてもうまく表現していると思います。

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ヨスガノソラは色々な場所でその素晴らしさについて語られていると思いますが、いいものはいいということで今更ですがご了承ください。
背徳的な恋愛を描くことに定評のある高橋丈夫監督ですが、兄妹の恋愛というわかりやすい禁忌をいつも通り演出してくれたと思います。暗い想いを封じるような部屋や湖底のような演出に写真やガラスを利用した他者や本人からの視線。全てを解き放つようまばゆいばかりに輝く湖面と突き抜けるような蒼い空。終始ダウナーな表情を浮かべ、徹底して動こうとしない妹が湖底から立ち上がる姿とその後の兄妹の抱擁。微睡んでばかりではいられないという凛々しいポーズに惚れました。

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超電磁砲OVAのOPは超電磁砲という作品の立ち位置について
OP/EDで見る長井龍雪にとっての「とある科学の超電磁砲」
で十分すぎるほど触れたと思いますので、同じ自作フィルム映像のけいおん!!と比較していろいろと。
そもそも今年の2大作品が同じ女子生徒の自作フィルム映像を採用している事は当然指摘せざるえないのですが、涼宮ハルヒの憂鬱EDを筆頭に、YouTubeにやってみたシリーズ、女の子達の生活ののぞき見、体験とまるですぐそばに存在する感覚を演出するのに非常に効果的です。
しかしもう一つ重要なのが映されたフィルムは"過去"ということでしょう。「ありがとう」と感謝したり今までの関係から変化した姿は作品の終わりを"感じさせる"ものですが、過去の映像として表現することで"感じさせた"という方向へと変化するのが面白いと思います。
見ているだけで「終わっているんだ」いう感覚が今年の大作のOPに共通している特徴というのはなかなか皮肉めいているなと。
加えてフィルムは誰が見るのかという問題。けいおん!!超電磁砲では描写と対象が対極に位置している点も考えてみると面白いと思いますね。

ED

ベタなOPに対してEDはおもいっきり変化球を投げてみました。最近は何かしら仕掛けがされている映像が増えたので視聴する側としてもいろいろ考えることができて楽しいですね。
もうおなじみの手法である話数単位毎に曲と映像を変化させる手法ですが、GAINAXがとうとう参戦です。もう選手層の違いが段違いです。少ないリソースでいかに効果的な映像を生み出すか。クリエイタープロ集団と呼ぶに相応しい仕事ぶり、どれも素晴らしかったです。

  • 1話:派手な映像と高速PANで退屈させない。
  • 2話:80年代SFパロとGAINAX節炸裂。
  • 3話:あ、フィルムですね。溶けたり解けたりして流れたり浮かんだりで消えては現れるテロップ。
  • 4話:彩色変化、フィルム回転、極端な中抜きなどなど、どれも映像は大きく変化させているけれど低コスト。
  • 5話:傘のタイミングと角度の変化と細かい部分。
  • 6話:右へ左へと小気味良く画面内を動作が流れていく。女子高校生に内包されるエネルギーを実感。
  • 7話:アニメーターによるアートアニメ。しかし美術畑にはなかなか難しいケレン味が効いたアクション。
  • 8話:波紋、ビートで揺れる画面、傘のモチーフからの短冊形背景、実写とキャラの鉛筆タッチと拾えばキリがない。
  • 9話:そして実写へ(山賀博之じゃない!?)
  • 10話:パロを詰め込んでいるだけではなく恐怖へときちんと誘導している。
  • 11話:ピコピコポップンパロ。
  • 12話:冒頭のクレヨンタッチとテロップがインパクト大、色彩込みで母娘のホッコリ感。

グレパラ→はなまる幼稚園パンティ&ストッキングwithガーターベルトとそろそろ各アニメーターが何の縛りもない状態でショートフィルムを売りだしてもいいのではないでしょうか。

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いちばんうしろの大魔王はもちろんいつもの沼田誠也です。チビでも大きくてもロリ、音楽に合わせた緩急の効いたアクション。見ているだけでテンション上がります。ちゅっちゅしたいよーを地で行くサビは圧巻。男の子と複数の女の子のアクションの差が見ていて楽しく何度見てもあきません。本編を見ていないのでわかりませんが、本命:赤 愛人:青・金 友人:緑 年上:紫

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神のみぞ知るセカイは映像的な見所はさほどありません。EDの見所は攻略されるヒロインがメインに歌いつつサビが合唱という点です。
OPは天から現れるかわいい悪魔、ゲームキャラに崇められる主人公、無機質な日常から色がつくこと現出する各ヒロイン達。それでもゲームを持ち続けプレイし続ける主人公は無表情のまま天に掲げて放つ
本編では様々な悩みを抱え行き詰まったヒロインたちに様々なアプローチを仕掛け、解決に向かわせます。しかしそのヒロインたちの記憶から主人公は消えてしまう。最終回はよりゲームに没頭することで終りを迎えました。
満面の笑みで足を使い歩きながらスタンピングを行うヒロインたち。温かみのある色で彩色された無表情を浮かべた主人公。絵画として表現される主人公は果たして虚像ではありますが、そこにこそ救いがあるのではないでしょうか。

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迷い猫オーバーラン!6話のEDはアホですね(ニコッ)
本作は一応萌えアニメのビジュアルですが顔を映さなかったり黒ベタで隠すとか狂気です。バストショットがバストまででなくバストからという小ネタ、本編内アニメを一部借用して動画配信サイトに流すというスパイス。(しかも顔をきっちり入れてきます)
あぁもうアホですねっ!

挿入歌


挿入歌をえらぼうとしたのですが思いの外少ない。挿入歌になると作品の思い入れ補正が強くなるのですが、タクト以外は全てOP/EDとかぶっている時点で今年の選択がずいぶん作品よりであることの証左に。

けいおん!!は卒業前にやり残したこととして楽曲を録音するところで23話が終わりました。その中身を商品化という形で現実化させた事はちょっとした驚異でもあります。
挿入歌はアニメのBGM代わりであり、作品内のラジオやテレビといった媒体から流れてくるものであり、登場人物が歌うものであったりしましたが、とうとう現実世界にまで現れてしまいました。マクロスの時代からキャラクターのアルバムという形はあるものの、本編の続きという点はやはり評価すべきだと思います。

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神のみぞ知るセカイは今年の挿入歌アニメとしてもやはり触れておきたいですね。アイドルエピソードは話のキーポイントでもありました。
「らぶこーる」「ハッピークレセント」「恋、ヨロシクお願いします!」と歌う対象の変化と盛り上げ方の差異が顕著でした。不安でたまらない時心の支えとなってくれた主人公のために「らぶこーる」。ファンの声援に答え、アイドルからスターとして踏み出した光り輝く映像の山場の「ハッピークレセント」。一人で思い悩んでいた元メンバーへの確執は一人になった舞台で「恋、ヨロシクお願いします!」

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STAR DRIVER輝きのタクトは巫女の歌です。バンク満載映像に戦闘前に流れる挿入歌、そして放送は夕方、いっそ1年ぐらい続けていいんじゃないでしょうか。そういうアニメも大事なんて言ったら懐古主義ですかね。

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ヨスガノソラのOP/挿入歌の仕掛けはなかなか悪質です。誰がどう見ても兄と妹(と幼なじみ)の物語にしか見えないのに当然のようにヒロイン別パッケージ、ルート分岐システムを採用しています。他のルートの結末迎えても兄妹の問題が未解決であるという。このすっきりとしない感覚はCパートのメイド編と全てのヒロインが並列に描かれるEDという存在によって、兄妹ルートでも晴れることはありません。
兄妹の恋愛として逃避・流亡を選び、しこりを残したまま終わる本作の仕掛けとしてとても悪質で非常に効果的であるといえます。

BGM


BGM、今年はわりとやっつけ気味になりました。準備不足です。結果秋アニメが3本並ぶという体たらく。正直あとヨスガノソラも入れて秋アニメ4本という案もありました。実は2010アニメ10選とかぶっているというのはこちらを選んだ後に好みの10本選んだことが理由だったりします。BGM偏重主義の自分らしいなと。

百花繚乱はやっていることはグダグダでしたが、そのビジュアルも相まって締めるところはきっちり締めるのが良かったと思います。そういう作品は深夜アニメとしてはよくありますが、このBGMも含めて"かっこ良さ"という点で抜きん出ていたように思います。

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とある魔術の禁書目録は能力偏重主義のとても過ごしにくい世界で、そんな世界を是正することができる能力キャンセラーこそが主人公である。そういう話と思いきやそんなことは一切なかった事を確信したのがこのエピソードですね。
前のエピソードで主人公サイドとは異なる正義を圧倒的な力でたたき潰した主人公一派でしたが、このエピソードはもはや能力者同士の喧嘩、エゴのぶつかり合いに知り合いが参加しているので口を出しただけというポジション。そんなくだらないいざこざを圧倒的な破壊と消滅をもってある種種荘厳に描いたこのシーンはとても面白いですね。その後ヒール役を演じる二人が殴り合いを演じること含めて作品の狂気に痺れました。
病院内のBGMもまた良いですね、一時休息とはいえほっとした気持ちになります。

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パンティ&ストッキングフリクリのようなミュージックビデオテイストとしてわかりやすく意義付けを行ったのがこの楽曲だと思います。様々なエピソードが並ぶ中10話のプロモーションビデオというのは自然な流れでしたが、この楽曲であることもまた然りという気がします。

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B型H系のBGMを当てるセンスの良さはさんざん触れてきましたが、楽曲もノリの良いモノ揃いでバリエーションも豊富と素晴らしい出来でした。なのにサントラが発売されていない、まさか!まさかですよ!!パッケージ特典ですら無いという。キャラソンアルバムなんて出している場合じゃないですよスターチャイルド

むすび

今年は例年以上に思い入れ補正が強いものになってしまいました。それだけ入り込んでみていたということでしょうか。きっと年末に全てのOP/EDをチェックしなかったからでしょうね(オイ)。PC移行中に今年分のデータが吹っ飛んでしまったのが原因で、だから今までのように網羅的なチェックが出来ませんでした。というわけで選外のオススメOP/EDの紹介も無しとなんとも寂しいものに。
むしろ他の誰かから教えて欲しい。いい加減映像の見方が凝り固まってきているので。ニコ動の紹介はあるのにOP/EDの紹介って殆ど見ないのはきっと自分の観測範囲が狭いからでしょうね。来年は探す側に移行してみようかなとも思います。
それでは来年も良いアニメイヤーになるといいですね。