テイルズオブハーツOPについて 〜DSの縦2画面による演出まとめ〜

DSの登場によって、映像を縦に並べる画面分割文化が生まれたと思います。ただし、自分はDSを持っておらず、間にフレームを挟むのは美しくないということで、かなり否定的でした。

しかし、テイルズオブハーツを見たときに、これはなかなか面白い手法だなと思いました。通常の画面では味わえない、独特な視聴感覚と2画面という特徴を生かした演出がいくつも見られたからです。
そこで、縦2画面の映像に違和感がある、楽しめないという人のために、私が面白いと思った演出をまとめてみようと思います。

  • キャラクターの状況説明


上で映したキャラクターの立っている場所を、下画面で説明しています。

  • 縦の移動を印象的にする


普通の映像だと左右の空間に自由があるため、横の動きが多くなります。
一方DSの縦長の画面では、縦に動かす事が多くなります。上画面から下画面へというように、別の画面を移動することで印象が特に強くなります。

  • 対比した映像を同時に提示できる


上の映像は花が開いて、下の映像は地面がめくり上がります。共に開くような映像になっているのですが、その意味はまるで異なります。
画面が分かれていることを利用して、対比した映像を同時に提示することができます。

  • 同一の事象を別アングルで見せる


演舞の全体像を上画面で見せつつ、顔のアップを下の画面で見せています。
普通ですとアングルを変えて2カットとなるのですが、1カットに収めているためじっくりとロングのアクションを楽しめます。

  • 1画面の映像だけ変わる(1画面の映像を残す)


キャラクターが次々と変わるといったシーケンスも、2画面あると1画面だけキャラクターを残すことができます。
数字がシーンが変わる順番です。視線で変化していく様は、まるで漫画のコマ割りのような視線誘導にも見えます。また、交互に入れ変わる映像は視覚的にも楽しいです。

  • 応用編


上画面は高い位置から海と陸を俯瞰したような映像で、下画面は海の波がわかるぐらい近くからの映像となっています。
下の画面のカモメは、水平を飛んでいるように見えます。
そこでカモメが上下の画面の繋ぎ目を無視するように、シームレスに上画面へと羽ばたきます。

しかしカメラのアングルは異なるため、実際のカモメは上昇し、瞬間移動したことになります。
このある手だまし絵のような映像には脱帽しました。DSの角度を90度〜130度にして観ていただくと、また新しい発見があるのではないでしょうか。

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以上、ざっとですがテイルズオブハーツのムービーで面白いと思った演出を紹介させていただきました。縦の2画面を使うことで、今までと異なる映像の提示方法が出来るのだなぁと、私自身この記事を書きながら感心しました。
せっかく2画面もあるのですから、こういった挑戦的な映像が増えていくといいなぁと思いながら締めさせていただきます。ありがとうございました。

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追記(2012.10.6)
貧乏神が!』OPの頃はイマイチ評判にならなかった画面分割でしたが、『中二病でも恋がしたい!』で反響が非常に大きかったので、MAD、YouTubeニコニコ動画ときて、映像の再編集について、ようやく身近なものになったのかなと。
奇抜な手法に囚われては本末転倒とも言うでしょうが、短い時間で印象的な映像を求められるOP/EDですので、是非いろいろと挑戦していって欲しいです。
といいますか、私が画面分割の映像をもっと観たいだけですねー。よろしくお願いします!