月詠 -MOON PHASE- NEKO MIMI DVD-BOX各話感想4

  • 21話

葉月が目を狙って蹴って血がでるとか必殺仕事人ばりの結界首絞めワイヤーとエグイ攻撃。放映時驚いたけれどその後のヴァンパイアの背中から手が生えたりその手から目が開いたりとその上をいくインパクト。葉月と光が走って逃げる部分の風景&心象風景の連鎖がSEと相まってグッときた。
アルトが耕平の非常食を食べてるのを見て今後の展開を知っていると涙ぐんでしまった。石毛佐和は最近だと「紅」の紅花といった大人の女性だけれど、初めて知ったのがこの役。ロリキャラまたやって欲しい。
おばあちゃんと薫のやり取り、半月を出して「誰も欠けること無く帰ってくるから安心しろ」で光が攫われる流れ。円という形は何でも応用が効くと改めて思う。
アルトと葉月が対峙するときにピンクの光が普通の光に戻る。これは敵として演出されたアルトが葉月と対峙し、恨みをぶつけることで単純な敵・味方構造から変化した証ではないかと。視聴者に中立になって欲しいというような意思も見える。対峙する時の上下反転カットがよかった。

  • 22話

葉月と耕平の二人のやり取りの脚本が最高。自分のせいで光がさらわれたと思い悩む葉月。ハイジが持ってきてくれたおにぎりを食べたくないというも、耕平が現れたときにお腹が鳴ってしまう。食べたくないと強がる葉月。耕平はハイジにお茶を持ってこさせ、二人きりになる。耕平の「食べろよ」という言葉に「うん」と素直に従う葉月。ハイジは葉月の友人としてあてがわれた使い魔。耕平が友人ではなく恋人としてはっきり立場を確立した瞬間だと思う。
ちなみにこのやりとりのあとのやかんが実は非常に上手い。今まで金物系が頭に当たるというのはただのメタファーであったわけだけれど、そのタイミングでハイジの持ってきた本物のやかんが頭に直撃する。
浄眼を試すために薫の使い魔と対峙する耕平。今までにないポップな原色のイメージ背景に驚く。一連の流れは三回繰り返し+1→4→16の画面分割とやや浮いているかなとか。

  • 23話

葉月が母親を思い出すと光がさしたり不安になると太陽が雲に隠れて暗くなったり、耕平の不安を煽るようなろうそくのゆらぎといった光の明暗の演出がひかる。花火やほとんど隠れている月、割れる風船ガムといった丸いモチーフも相変わらず徹底されている。
結界が破られてアメコミ調のバトル。そういえば19話の同じ敵との戦いでもこの処理だったなと。

  • 24話

アバン、シュバイツクベレ城が転移するシーン。色やレイアウトに一話と同じものを使っていて最終回っぽい。
割れたステンドグラスから覗くようなレイアウトで葉月とアルトのやり取り。葉月にとっての戦いは殴る蹴るといったアクションではなく対話や覚悟といった方向性なんじゃないかと。その後に耕平が現れてステンドグラスをまた背負い、浄眼で相手を一掃する。ここは耐える描写から攻めへと転じていてものすごくかっこいい。なのに耕平はネコミミつけてるというのが月詠

  • 25話

TV版最終回。今月発売の季刊誌エス尾石達也が言うには母親がいないことを打ち明ける部分は新房監督はカットする予定だったとのこと(泣くとこだけかもしれない)。それを最終回に泣きの部分も必要だろうと尾石達也がどうしても入れたいと頼んだらしい。そして今は気恥ずかしいとのこと。個人的にはどんどんやって欲しいのでどうか尻込みしないでくれと。
25話は階段滑り、風呂の壁がひっくり返って外に放り出される、金ダライ&床のコンボという風に一番ドリフに忠実だと思う。最近(といってもぱにぽにの頃からか?)の尾石達也のパロは漫画静止画をそのまま使う場合が多いのだけれど、こういった演出のパロディーのほうがずっと好き。あと食事シーンのような独特のデフォルメで崩す描写が可愛くて仕方がない。
アルトと耕平の絡み、繋がりとして将棋の駒を積み重ねるのに失敗するアルトと、耕平が手助けをすることで特殊な積み上げ方ができるという演出。葉月の丸いモチーフとは異なるのはコミュニケーションの際相手によってアプローチを変えるという事なのかなと。アルトとは将棋の駒を積み重ねて遊んであげるというような。あと演出上満月という情報は先に出しておくけれど、葉月との絡みまでは取っておく必要性もあるんだろうとか。この駒の積み重ね方の違いの意味とかも両者の今までの関係づくりの方法を示唆していて素晴らしい。
調理室からお風呂場までカメラがゆっくりスライドしていく部分、TV版だとゆっくり移動する1カットだったけれどDVD版だと一瞬ずれることで3カットに分かれている。ただこれってテンポが悪くなっているし収録の際のブレに見える。放映版からの修正なのかなんなのか、判断に困る。

  • 26話

一番ぱにぽにに近い印象。今までは一話ごとに演出の方針が見えるのだけれどこのおまけエピソードでは同じ描写でも実写、舞台演出、パロに割り箸という風にカットごとにやることが異なる感じ。アイデアの詰め合わせ、やりたいことをやらせたそんな印象。
立木文彦が複数キャラに声をあてる印象が強くて、らきすたではこの話を思い出したんだよなぁと。
エピソードは25話で思ったように遊びでアルトがコミュニケートしたり、17話のエルフリーデのヴァンパイア時代の象徴であるメガネが欠けるといった、今まで描きながらも突っ込みきれなかった部分の補完として綺麗にまとまっている。
成児は見た目で損しているというのが櫻井孝宏の弁だが、このエピソードではヘタレという物語の立ち位置に即したデザインになっていて面白く、そしておいしい。