月詠 -MOON PHASE- NEKO MIMI DVD-BOX各話感想3

  • 15話

精神の不安定さで逃避していた葉月が、耕平の告白を受けて安心することでルナから葉月へと戻るエピソード。その際に欠けたペンダントは消えるのだけれどルナ成分として捉えるのはもちろんだけれど、今までの支配的なもの、依存的な繋がりから、自分の明確な意志で耕平の隣にいることを決めた結果、丸いモチーフが消えたという見方も。
ドリフ芝居や、脚本上でしもべになろうとする人間が女である事をばらす前に背景の百合で提示など、面白い部分がいつも公園には転がっている。今回も楽譜のモチーフが配置されていて何がしかの意図があるのは明白なのにいまいち読み解けなくてやきもき。前回も恋愛的な要素があったので、愛の歌とか、本能的な伝達とかそういったイメージかなと思ったり。
今更指摘するけれど、月詠ではやたらと画面ブレを使って緊迫感を上げている。BGMもそうだけれど、単純なイベントの重みをつけて、逆にシリアスでも外してくるアンバランスさが月詠

  • 16話

葉月がカラスを捕まえるために身動きをしなくなって、耕平が呆然とするところ、二人の横からのカットが空を配置して無音で長回しをしてとまるでセカイ系みたいだった。二人しかいない世界。
エルフリーデがじっちゃんの腹筋の手伝いをするカット。どうみても騎乗位にしか見えない。今後付き合うのを予め示唆しているのかな。
耕平のカメラが撮った写真で新たな敵を呼ぶことに。冒頭部分のカメラ掃除でレンズを覗いて映るカットが上手い。耕平が葉月に対して何ができるか考える時に見ている写真は二人で笑っている楽しそうな写真というのはポイント高い。
耕平は車内で葉月の事を考えるときに三日月がはさまって、葉月は耕平のことを考えるとき風呂に映ってぼやけている満月がはさまる。関係を守るため、相手のために何をすればいいのか分からない耕平と、葉月が耕平のそばにいるという今やっていることが相手のためになることに気付けない葉月。

  • 17話

キンケル(&諸々)編終了。当時はコメディタッチや萌えのあざとい演出のため主人公たちの家が焼かれて逃げることになるとは夢にも思わなかった記憶が。
演出的にはエルフリーデの過去話がおいしい。思い出すようにポツポツと語る様。その言葉と言葉の沈黙に重なるようなオルゴール、柱時計の振り子、木いちごといったモチーフが話の深刻さを高めてくれる。台詞に込められた感情は静かに、しかし画面にあふれる悲壮さというギャップが良い。メガネをおじからプレゼントされ、かけた日からヴァンパイアの道を進むことになったエルフリーデ
2話のビゴー前や13話のキンケル戦と耕平が男を見せる前には背景にステンドグラスを背負っている気がする。

  • 18話

前回あれだけシリアスかましたのに冒頭ネコミミつけた鳥居のアップに痺れる。Aパートは逃げてから8ヶ月後、すでに当たり前のように過ごす日常を描いて、Bパートでようやく回想として説明が入る構成。
Aパートでは耕平がいないことが自然である空間を演出していて、最後に太陽を見て耕平を思い出すことで欠けている部分を提示してくれる。Bパートでの満月の日にしか会えないという事で、相変わらず丸いモチーフが繋がりになっている。アニメのラスボス、丸い玉を手の中で転がすカットはやはり狙っているとしか思えない。
遺影のカットが異様に心に残る。葉月が描いた下手くそな絵で可愛らしいのだけれど、現在の楽しそうにしている様子と合わせてじっちゃんとエルフリーデの過去の人感がハンパない。視聴者は先週、葉月にとっては8ヶ月前の出来事というギャップもある。

  • 19話

薫のネコミミから光の耕平兄ぃ褒めてのコメディータッチの流れが面白い。頭身も落とす処理が珍しい。ここではギャグでやっているけれど葉月と耕平のカップルは確定で、二人の間に流れる色気をがっちりと描いている今回のエピソードで光の想いにこういった処理をするところが月詠らしい。
基本的に葉月と耕平の二人を真面目に作っているので、逆に新登場のヴァンパイア三人組にドリフパートをもってくるのが月詠。敵もスカしているだけではないという。
アバン、ひろみと編集長の絡みで編集長が耕平達が死んだように言ったときに蝉が鳴いて、ひろみがうるさいと一喝することで双方ともに黙るということをやっている。今までのドリフ的な仕掛けもそうだけど、タライだったら精神的ショックの視覚化といったように基本的に非現実的な舞台ネタは無くてもセリフや心情は成立するようになっている。
ラスボスの丸い玉、埋め込むことで操る能力という今まで積み重ねた意味そのものの能力が面白い。満月に雲が掛かっていたけれど、別れる時には雲が晴れていてよかったねと。
EDがTV版と異なって光&薫キャラソンの一枚絵になっていた。今回は薫の振られるエピソードだったんだなと。

  • 20話

葉月と光の喧嘩。マイクが映ってたり照明が映ってたりと舞台劇もしくは撮影っぽい所がぱにぽにに受け継がれる。光の持ってるスイカがやけに薄くて、結構生活逼迫してるのかなとか。演出が大沼心ファミコンの描写が詳細で、テレビとファミコンをつなぐあの四角い特殊なアダプターとか普通やらないだろーとにやり。
ピンク色の空や月とアルトの世界なんだろうな。風船ガムを通して耕平を見たりと相変わらず丸かったり。
エンディングが動くバージョンに。友岡新平による可愛い動作もさることながら、イメージに近づけるために何度もテイクを重ねさせたという演出の鈴木利正の力は大きい。1話前からコンテは上がっていたとのことで、企画段階では1話から付ける予定だったんだろうが、テイクを重ねることでいいものが上がったのならその方がいいのかもとか思った。