月詠 -MOON PHASE- NEKO MIMI DVD-BOX各話感想2

  • 7話

表情を見せずに唇でまくしたてるもリップシンクさせない口論の演出がかっこいい。葉月が人の気持ちを理解できないと指摘されて人間不信に陥って表情が読めない=影に隠れているからひろみから近づいてくれて表情が見えるようになるという細かい演出が光っている。
エンディングは本編映像にテロップがかぶるバージョン。月詠はドイツ編、葉月が日本にやってくる編、キンケル編、最終エピソードと4つに分けられるというのは亀山俊樹の弁だけれど、大きな章が終わる際のエンディング演出は化物語と全く同じ。
服を買ってもらってファッションショーのシーン。アイキャッチみたいに静止画が変わっていくのだけれどPOP体の太文字で文字が流れるのを見ると大沼心らしいと思う。しかもニコ動がない時代にもかかわらず。

  • 8話

キンケル編は始まりから奇天烈な絵画が並ぶ強烈なインパクトを与えられる。
葉月が捕らえられるのだけれど、丸いベッドに目の模様の床と相変わらず円に支配されているようにも見える。葉月を捕える夢の中でのBGMがオーケストラで、それを楽しんでいるワイン片手のキンケル。ビル内の内装に同化したビゴーと変態的な映像が素敵。

  • 9話

登場キャラの色がまともな色をしていない。キャラごとに青やピンクや緑といったモノトーンで表現されており、葉月が耕平の胸をえぐるシーンの幾何学的なメタファーといい、ソウルテイカーかよと思わずにいられない。じっちゃんの色が茶色から緑に変化するのに注目。光を操るキンケルによる世界の浸食のイメージで、葉月が耕平の血を吸うと異能の力がキャンセルされてすべての色が戻る。
阿部厳一郎のバトルが放映版よりも動いていた。結果いったいナニが起こってるのか分からない。本当に若手の作画の暴れん坊といった印象。
OP、葉月がルナに浸食されてネコミミモードでなくツクヨミモードになって映像も変化する。このときからシャフト×新房監督のOP・EDへのこだわりが見える。

  • 10話

過去の回想を利用した良い省力エピソード。葉月は丸いモチーフに支配されていると思っていたけれど、今度は耕平のあげた財布の鈴に変化していた。
時系列的には逆だけど、新幹線内の?と!マークが壁に並んでいてネギまを思い出して笑った。好きなのかな?

  • 11話

魔物ってゆうなーが印象的なエピソード。あと薫の小声が実は登場人物には聞こえていないといいう設定が明らかにされて驚いた記憶がある。
このエピソードは物語上では重要ではないけれど、重い話が続く中でのインターミッション的な立ち位置で、芝居がかわいらしく非常に印象的な作りになっている。演出が監督補佐の鈴木利正、作画監督がキャラデザの相澤昌弘でこういうスタッフの配置の仕方は上手いなと。
着ぐるみで走り回る葉月が暑さでばてるという話。冬だけれど暑い日ということで、強い光で画面が白いため真夏日にしか見えない。もう冬の設定を忘れて暑そうな印象しか残ってない。この回では雑踏の表現にモブが出てくるのだけれど平べったい紙のような人間と今のシャフトのモブ処理に近い演出。これがはじめてなんじゃないかなとか。

  • 12話

演出:尾石達也で全然作画が間に合ってなかったエピソード。初めてDVD版を見れたのだけれどカッコよかった。キンケル戦ということでまたもキャラクターが様々な色でのモノトーン。暗闇の中での白黒モノトーン彩色は現実的な物の見方で、その部分は本物であるという理屈の通った演出。
Aパートの編集長とのやりとり、わざわざ部屋の証明を落として、みんなに懐中電灯を持たせて下からのライトで話を進めるのがすごい。ものすごいシリアスでカッコいいライトの当たり方なんだけれど、懐中電灯もってふざけている。スタイリッシュでスカしているんじゃなくて、どこか面白がってる部分がある映像。この塩梅が月詠ならでは。

  • 13話

キンケル戦の終了。ここの見どころはじっちゃんや成児やエルフリーデといった総力戦でも敵わない圧倒的な強さを持つキンケルが、あっさりと葉月に杭を刺されて死ぬところ。葉月の耕平への想いの強さに負けるという非常にわかりやすい展開なのだけれど、BGMで過剰に盛り上げず、テラスに蝶が止まり、飛び立つ間に全てが終わる呆気なさが印象的。

  • 14話

月詠では夢の表現は必ずと言っていいほど絵柄を変えてくる。今回は巻物風もしくは花札のイメージ。ペンダントが割れているシーンが印象的。葉月とルナが入り交じって心の不安定さを表しているのだろうけれど、依存、繋がりのモチーフとしてみてみると、人間側の耕平との不仲としてみえて面白い。実際喧嘩して別れたあとにもう一度ペンダントが提示される。
演出に上坪亮樹初参加かな?今回もモブを出しているけれど、普通には出してこなかった。じっちゃんの裸体がやけに筋肉質だったり公園内にやけに浮いた原付二人乗りが現れて何故?というようなシーンがちらほら。葉月がデイウォーカーであることが発覚するエピソードのためかやたら光の演出が目立っていた。
今回OPがまたもツクヨミモード。しかし映像は以前のものと変えているのだから芸が細かい。前回同様OPディレクターが大沼心。黒ゴス葉月と白ゴス葉月が配置の入れ替えや交差、ネガ反転とキャラクターの表裏一体の表現に、縦や横に流れる文字といった今に通じる作風が見て取れて面白かった。