キディ・ガーランドを作ってしまうプロデューサーの気持ちはわかる

まず断わっておくけれど2話と6話しか見てない人のたわごとだということ。
現在は大学から離れてしまい、非オタの同世代と関わる機会が大幅に減少したためにわからないが、インドア派に限れば一、二年ほど前は間違いなくニコニコ動画というものは一般化されていたと思う。それに30代前半まではニコ動を見ている層が少なからず存在するというデータも見たことはある。政治系の動画が市民権を得ていることからもそのデータはあながち間違いではないだろう。ということはお金を出してくれる層が共感してくれたりウケルネタというのにニコ動ネタというカテゴリーが間違いなく存在すると見てもいいし、らきすたの時点で角川にはニコ動層の吸引力が販売の実績として存在している。
キディ・ガーランド二話では主人公の女の子二人組がプリンを食べたいがために自分の会社?に忍び込み警備網をかいくぐるというベタなギャグ回であり、その障害としてめちゃイケ油谷さん(元極楽とんぼ山本圭一の持ちネタ)、ニコ動のホモ阿倍さんやロリコンムスカさんが出てくる。これらはもたれると倒れる壁といったドリフの仕掛けや、石が転がるインディージョーンズやそれに類する類のトラップの代替物といえる。そもそもそういった古典も的なネタ自体にも少なからず元ネタが存在し、オマージュかパクリかといった言葉遊びなんて見てる側がどう受け取るかはその人の予備知識や経験や人格といった主観的なものによるところが大きいので作品の評価としてはあてにならない(ただしマーケティングとしては重要な問題)。
6話のBパートでは男性声優のアフレコ喫茶に行くというエピソードで、これまた数年前に声優のラジオで話題になっていた。白石稔イジリのネタで構成した話もハルヒのWAWAWA忘れ物やらきすたでの白石稔をニコ動世代が共有しているキーワードとしてみれば非常に納得できる。子安武人若本規夫といった強烈な個性をもつ声優に何か面白いことを言わせるという声優ネタを今回ターゲットにした層で面白いと思ってくれる人選として白石稔を選んだだけ。キディ・ガーランドの企画プロデューサー伊藤敦白石稔の仲がいいことによる内輪ネタのような雰囲気も特徴的。この内輪ネタを広めた一端にめちゃイケがあることは明らかで、その意味でも油谷さんのチョイスは非常に的確だった。知ってると面白いニッチなネタを提供する場であり、一つの作品が様々な形で伝播するニコ動という媒体は身内ネタがバラエティーで流行った時代を中心に過ごした層とおそらく密接に関わっている。これらのことからプロデューサー側の狙っているものは明らかかつ的確と思う。もし自分がその立場ならば同じ思考方法で作品を作ることを提案してしまう。
あからさまな萌えやエロは良いけれどキディ・ガーランドのニコ動ネタや声優ネタで話を作れば面白いんだろ?という作品づくりに対して駄目という批判はいささか狭量なんじゃないかなと思うほど酷評されていたので(本当のところはわからない、あくまでネット上であり、ニコ動の視聴層≠ネットで意見表明層であるため)、なんとなく擁護する記事を書いてみた。ただしキディ・ガーランド6話Bパートの若本規夫が「タマ」という言葉のバリエーションだけで間を稼いで爆発オチという強引な話作りに対しては大いに批判されるべき。あと1期のファンで方向性の違いに憤っている方は2話の時点であきらめるしかないとしか。

*追記:上手く作ればこれらのネタを入れたとしてもそんなに非難されない。物語としてのつまらなさが見えやすいニコ動ネタとか声優内輪ネタの批判につながっただけで、不満のはけ口が違うだけという所はあるのかなとか。こういうのはプロデュースする時もとりあえずウケそうなキャラデザを用意したり、脚本をコントロールすることはできても、実際に出来上がるアニメーションは読めないので博打的にならざるをえない。この辺り直接作品をコントロールする監督なりシリーズディレクターなりがネタをわかっているシャフトの製作方法(もはや制作のレベルを超えている)は合理的。