いちごの学校

いちごの学校 (ヤングキングコミックス)

いちごの学校 (ヤングキングコミックス)

男教師大宮壱吾と女学生板橋くるみのできちゃった結婚から環境や生活は一転。
大宮の視点で進む本作品。
後悔や希望を胸に相手のことを思い、悩み、選んでいった結末は・・・
珍しいのは国語の新任教師で若いながら読書熱心で勉強家、年配の倫理教師に飲みに誘われるようなまじめな人格者である点で、だからこそ非常に責任を感じさせることで、様々な過去の問題に対して悩む事に重点が当てられているのが特徴的である。
以降重大なネタバレで読んだら本作品の一番上手いところを楽しめなくなるので注意
きづきあきら+サトウナンキであるから、悩みながらも幸せであるというせんせいと幸せそうなくるみの姿から、読むほうも身構えるわけだけれど、案の定一転した。もちろん、この一転はフリであることも訓練された読者ならストーリーラインとして予想するわけだけれど、その予想通りの展開に一つ毒を仕込むところが相変わらずだった。
しかし本作品の一番の仕掛けは「いちごの学校」というタイトルであろう。
表紙を見てもらえばわかるとおり、くるみが表紙で、いちごの学校というタイトルから苺を想像すると思うのだけれど、最終話の後半に、「いちご君!」と大宮先生と呼び続けたくるみが大宮壱吾を見開きで呼んだのは衝撃だった。
みんな「大宮」とか「先生」とか、親でさえ「おまえ」だったから冒頭の大宮壱吾は完全にロストしていた。素晴らしい。