それでもボクはやってない

ネタバレですよ。
見てない人はこの先は見ないように。
2時間で4,5回ぐらい泣いてしまった。
一番初めは、被害者の証言が主役である被告人の意見と食い違っているところ。どれだけ真実を訴えても、それが伝わらないというのは非常に苦手。そして被害者が一度だけの証言ですみ、また事件がすでに過去となっていることに泣いた。
最後に有罪判決を受け、理由を述べているところで、被害者の証言に対して褒め称えているところに恐怖を感じた。被害者の証言を聞いた裁判官は左遷され、判決を下した裁判官は文章のみでしか理解していないにもかかわらず、ただたんたんと「真摯な供述態度」「反対尋問にもよく耐え」「臨場感にあふれた」「わからないことにはわからないと正直に」とほめたたえていたのだけれど、まるで宇宙人のような、何を言っているのかよくわからないという恐怖を感じた。
判決が続く中、主人公は独白で今まで裁判を「自分はやっていないのだから無罪となる」という主観的な捉え方で見ていたのだけれど、「証拠から判断される」ものだと客観的に捉えるようになった。ここではBGMもなくただたんたんと判決を流し続けており、視聴者も冷静に、客観的にこの判決を見れたと思う。
逆にその前の、最後の公判で被告人の言いたいことは、という流れでは、この映画で一番の主観的な供述、演技で、一番盛り上がるところだったのではないかなぁと思う。その、通常のドラマなら逆であろう構成に感動した。
この映画を見てどこが山場として見るかでその人の視聴スタンスがはかれるよなぁと。自分は主役と共感するタイプで、見事に転がされた。逆に判決で泣ける人、山場だと思える人は凄いと思う。理屈ではわかるんだけれどね。
こういう実写の良作を見ると、アニメにこだわって見てる自分が嫌になる。まぁかといってドラマをちょっと見てみようと思うと顔ぶれに泣きたくなるわけだけど。