神戸在住

神戸在住(2) (アフタヌーンKC)

神戸在住(2) (アフタヌーンKC)

大学に入って東京から神戸へと引越した主人公桂の大学生活を中心に描く日常漫画。
主人公以外は関西弁話すので、岡山やら滋賀まで様々な方言が読めます。
物語を構成するのはサークルや授業・どこかに買い物に出かけたり遊びに行ったり・ゼミでだらだらしゃべったりと本当になにげない出来事と、台詞の三分の一を占める主人公の独白。
作中で「喋り(ベシャり)のリズムの良い子」という台詞がありますが。むしろこの作品において一番いいテンポが主人公の独白だったりします。
日常の中には障害を持った人々や震災の出来事、おばあちゃんとの思い出などもあるのですが、今日紹介するのは二巻の第17話「弟との出来事」
喘息もちで体の弱い弟は季節の変わり目に大きな熱を出す。「弟ばかりみんなにかわいがられていてずるい そんなふうに見えていた時期もあった」「まだ子供のころ熱を出して寝込んだ弟に花を摘んで持っていってあげた そうするとお母さんやおばあちゃんが褒めてくれて それが嬉しくてやっていたんだとおもう」
夜中にセキの音が聞こえて弟の部屋にいくと発作を起こしていた。水を持ってきて背中をさすってやる「私より大きくなったはずのその体はどうしてだろう とても弱く感じる」何かして欲しいことがあるかと聞くともう大丈夫、ありがとう、おねいちゃん。「おねいちゃん まだ幼い時分の呼び方だった。」・・・中略・・・「私は優しくなんか ない」
どうですか?誰しもが少なからずとも経験してきたことでは無いでしょうか。アトピー&喘息を持つ弟がいる自分にとってこれは正直痛い。
これは病気の弟の出来事であって、やや特殊といえば特殊かもしれませんが、ゼミやサークルの仲間とのあれこれなんてことに対する独白も同じように懐かしさに痛さと切なさを含んだものとなっています。対象年齢は20を過ぎてからが楽しめそうです。少なくとも中学生が読んで楽しいかは微妙かもしれませんね。ちなみに私は高校のときに読んでましたが、これはフリクリ三巻あとがきの榎戸洋司さんの言う「切なさに娯楽性を感じる大人の感覚」を持っていたからかも知れません。(今回はUKさんのネタにかなり影響を受けてます。対象年齢とか・・・)
別にこの作品、一話だけ読んでも十分魅力が伝わるとは思いますが、話が進む毎に年月が流れるのではじめから読んで欲しい作品です。あとカバー裏の漫画は必読です。