2004年5月5日

多分私が岡崎律子さんが亡くなったのを知ったのは数日後のヤフーニュースだったと思う。あまりの事に愕然とし、そして一時間後、大学一年で、まだ一月と数日しか過ごしていない仲間にポツリと語り、そしてそのうちの一人と共感し、そして共に消沈したのを今でも覚えている。
後日林原さんのラジオで、ただ感情を抑えながら粛々と語られるのを聞いて初めて、岡崎さんの死が様々な影響を与え、そして多くの喪失感を産んでいることを理解した。
実家は関西で、林原さん好きー、アニメ好きーだった自分は、ラジメニアンでもあった。ハガキは出していないのでいわゆる新人さんだ。しかし大学に入るとまったく聴けなくなってしまった。青春ラジメニアではよく岡崎さんの曲がかかった。リクエストが多いということもあるだろうが、少なからずともパーソナリティーの想いがあったのは間違いないと思う。そんなラジメニアは岡崎さんの死に対してどう反応していたのだろう。しかし結局聴くことは出来なかった。
話は飛ぶが一月前ぐらいに2004年5月15日と2005年5月6日のデータが手に入った。どうして手に入ったかは聞かないでほしい。そこには岩ちゃんとかおりんのふたりの想いがあった、とだけに留めておく。
とにかく岡崎さん特集は一年後に行った。亡くなってすぐの特集は、二人には酷であったし、時期もあったのだろう。岡崎さんの死について語る2004年のデータは手に入れてすぐに聴いたのだが、2005年の、前説もなく流れるピアノのFor フルーツバスケットを聴いてラジオを聴けなくなってしまった。自分の中でもかなりのときが流れていて、CDの音楽も普通に聴けていたはずなのに、ラジメニアの特集ということと、ラジオという媒体のせいか、感極まってしまった。
そして今日、再びラジメニアを聴く事にした。次々と流れる岡崎さんの声や、提供された林原さんやゆいちゃんの声、そしてメロキュアと、実に様々な声・曲が流れた。しかし不思議と素直に聴けた。少しはそりゃあ思うこともあった。セレナーデやストラトスフォーのラストソングのリンク具合に揺れたが耐えた。そして最後の曲となった。
for RITZの中のI'm always close to youという曲。
知らなかった。岡崎さんが亡くなる直前まで書かれた曲が、スタッフの総力を挙げて一枚のアルバムを完成させたという。
死にたくない。まだ生きたい。岡崎さんのウィスパーボイスで、しかし力強く歌われた後曲が終わる。
突然曲が始まる。ごめんね。あなたは悲しまないで。いつか思い出になるから。あなたは生きて。笑って。
泣いた。それはもう泣いた。
今日これを聴いたことを本当に神に感謝したいと思う。まさかこのタイミングでこの曲に出会えるとは。直接ウィッチブレイドとは関係ないのだが、しかしこれはないだろうというのが本心だ。出来すぎている、と
最後にこの曲、というか多分このアルバム全体にいえると思うのだが、はっきり言おう。
未完成であると
それは仕方の無いことだと思う。完成する前に岡崎さんは亡くなり、そしてそれをスタッフが継いだのだから。このI'm always close to youも曲調もアレンジも岡崎さんの声にしても未完であり、作品として出来の良いものではないと思う。しかし、作品としての出来は、得てして相手の心を打つこととは関係ないものなのかもしれない。
心を打つ作品とは、どれだけその作品に想いをのせたかによるものなのだろう
その点で、この曲は死の間際に岡崎さんが感じ、そして伝えたかった最大級の想いが込められた最高の曲なのではと思う。
この曲を残してくださって本当にありがとうございました。岡崎さん。