その あたたかな街と人々と・・・

街を吹き抜ける風に麦藁帽子の香りがする季節。それは夏のしらせ。観光で人が増えてくるため街が活気付いてきました。
町中の人々や名前も知らないという店員と親しげに話す灯里を見て、どうやって知り合い作りをしているか気になり、買い物に出かける灯里の後をつける藍華とアリス。
ヴァボレット(水上バス)の停留所でも、客室でも、ちょっとしたきっかけで会話が始まり、どこでも灯里のそばには人だかりが出来る。二人は灯里の特別な知り合い作りの方法を期待していたが、特別なことは一切していなかった。
初めて藍華はヴァボレットに乗るのだが、大きなエンジン音のわりにゆっくり進むところ、停留所で止まるために、岸に毎回ぶつかって止まり、気の抜ける乗り物ね、なんだか眠くなるわ。のんびりレトロで間が抜けて、油断しているとわっと驚かされる。灯里とよく似ていると評価する。
帽子を深くかぶり大きなトランクを持った怪しい男まで親しげに話す灯里。誰彼かまわず仲良くなるのはどうかと思う。二人は心配するがちょっとした隙に見失ってしまう。探し出すと人形使いのおじさんでまたも人だかりが出来ていた。そして小さい頃に見たことがあることを思い出す二人。
灯里がいないと忘れていた。アリスに至っては死体運搬係とさえ勘違いしていた。ヴァボレットを見ながら、「灯里っていうフィルターを通すと見えなかったものが見えてくる」「なんでもなかったことがきらきらと輝いて見える」「また灯里に知り合いが増えたね」「知り合いが多いわけがわかった気がします」。一日を通して灯里という人柄と出会えた二人の顔は晴れ晴れとしていた。

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水上バスに乗ったことが無く、移動手段はゴンドラのみ(多分会社の誰かが送り迎えをしていたのではないだろうか)と言ったお嬢様の藍華人形使いのおじさんを見て死体運搬係と思った推理小説やそういったスポットをよく知っているアリス。二人の特徴がよく表現されたとてもいいやりとりです。
前回は素敵なものに出会うのは心の持ちようであるということであったが、今回は隣にいる人が大事ということでした。見事キレイにつながっています。隣にいるだけで色々と気づかせてくれる灯里のような人がいれば、日常もとても楽しいものになるだろうなぁ、そう思いました。

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作画自体はanimation時と比べて簡略化されてきましたが、今回この簡略化がプラスに働いたと思います。藍華の呆れた表情やアリスの照れた表情など、生き生きしたものが多く見ていて楽しくなりました。これが安定すればいいのにと思います。またヴァボレットと灯里の類似の件は説明しすぎでも足りないわけでもなく、とてもいい塩梅だったと思います。

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今回使用されたdueの曲